だから安保はいらない (7)日米の軍事一体化 海外で戦争する国へ
一九六〇年に日米安保条約が改定されて五四年、日米の戦争協力体制は半世紀前より大きくすすみました。
安保条約第五条は、日本の領域で領土または在日米軍が攻撃を受けた場合、共同して立ち向かうと定めました。ところが、七八年制定の「日米防衛協力の指 針」(ガイドライン)は、「武力攻撃を受けた場合」から「武力攻撃のおそれがある場合」と踏み込みました。
九九年制定の周辺事態法は、「放置すれば…我が国の平和および安全に重大な影響を与える事態」に対しては、自衛隊が補給、輸送、医療、通信などの後方支援を行うとされました。
二〇〇一年にはアメリカ同時多発テロ事件が起き、米国がアフガニスタン攻撃を開始します。小泉首相は「テロ対策特別措置法」を強行成立させ、自衛隊の補給艦をインド洋に派遣、米艦船などに給油しました。
米軍がイラクを攻撃した〇三年には、「イラク特措法」を制定し自衛隊をイラクへ派兵しました。市民や弁護士らが、派兵は憲法違反として提訴。名古屋高裁 は〇八年、「航空自衛隊の空輸活動は、武力行使を禁止したイラク特措法三条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条二項に違 反する」との判決を下し、確定しています。
アフガンでもイラクでも、後方支援は「現に戦闘行為が行われておらず…戦闘行為が行われることがないと認められるわが国周辺の公海及びその上空」と限定 され、支援している地域に戦闘が及んだ場合は、支援を「中断、一時休止」すると当時の小泉首相は答弁したのです。したがって、「殺し」「殺される」という 戦闘行為はありませんでした。
安倍首相が閣議決定を急いだ集団的自衛権の行使は、こうした制約を取り払うのが狙いです。
強襲上陸訓練を合同で実施
最近は日米の軍事一体化が加速しています。安倍内閣が昨年末に決定した「中期防衛力整備計 画」には、米海兵隊のような水陸両用機動団の編成や、自衛隊が欠陥機オスプレイを一七機も導入する計画が盛り込まれています。すでに敵地への強襲上陸訓練 を日米合同で実施しています。
また、最新鋭のステルス戦闘機を二八機、滞空型無人機三機、新型空中給油機三機、起動戦車九九両、イージス艦二隻の配備など、これまでの専守防衛体制で は必要のなかった攻撃型兵器を大量に導入。また、航空自衛隊の兵器はすべてアメリカ製で、訓練マニュアルも戦法も米軍の指導下です。
軍事一体化は従来の憲法解釈では説明できず、矛盾が激化しています。大軍拡をやめさせ医療や福祉の予算を充実させるうえでも、安保条約が大きな壁となっています。(安保破棄中央実行委員会)
(民医連新聞 第1575号 2014年7月7日)