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民医連新聞

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かあさんの「ほのか」な幸せリターンズ ~眠りっこ子育てetc.~ 「ぴっかぴかだよ1年生」の巻(上) 文:西村 理佐

 いのちの厳しさを思い知らされるようないくつかの冬を乗り越え季節は巡り、この春、帆花は特別支援学校に入学した。ぴっかぴかの1年生である。バギーにかけられる特注のランドセルには、これまでの歩みや希望、しょっぱい涙などたくさんの思いが詰まっている。
 特別支援学校は、障害の程度に応じて特別の場所で行われていた「特殊教育」から、障害のある児童一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行 う「特別支援教育」への移行に伴い、かつての「養護学校」から改められた。障がいが理由で教育制度から排除されることなく、全ての子どもたちが就学できる ようになって40年、障がいによる分離が廃止され「インクルーシブ教育」への流れに向かっていると言われているが、帆花の入学が決定するまでの道のりはそ れとは程遠かった。
 障がいのある子どもたちは就学年齢に達する前年に、長期間にわたって教育委員会と「就学相談」という面談を繰り返し、その内容を就学委員会にかけ、ふさ わしい就学先についてお伺いをたてなければならない。我が子にただ義務教育を受けさせるために本人に会ったことも無い専門家たちの指示を仰がねば進んでい けないことは、親にとってはとても情けなく苦痛であり、本人にも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 そうしてようやく正式に入学先が決定したのは入学式のわずか2カ月前であった。
 それにしても「学校」という場所は不思議だ。入学式の朝、初めて校門をくぐり先生方にバギーを押されて校舎に入った帆花は、すぐに「1年生」の顔になっ ていた。緊張しながらも、校内の雰囲気を確かめるように注意深く耳を澄ませ、精一杯新入生らしく振る舞おうとするその姿は我が子ながら立派だった。この 「学校」という場所でしか感じられないこと、学べないことがあるのだと、帆花が踏み出した「最初の一歩」が既にそう物語っていた。
 どんなに「重症児」などと呼ばれようとも、体格のみならず、中身だってちゃあんと1年生にふさわしい女の子に成長しているということをまざまざと見せつ けられた。そしてその凛とした帆花の姿は、とうさんかあさんにとってはこれまで手にしたことのないような素晴らしい贈り物となった。

(民医連新聞 第1573号 2014年6月2日)