医療・介護一体改革 参考人から懸念続出 ―衆院厚労委―
国会では「医療・介護一体改革法案」の審議が行われています。五月七日の衆院厚生労働委員会で行われた参考人の意見陳述では懸念が続出。日本の医師不足を訴え、ドクターウエーブなどにとりくむ済生会栗橋病院の本田宏医師(院長補佐)も陳述しました。
本田医師は、「OECD諸国と比べ日本の医師数は絶対的に足りない」とデータを示し、そのため医師が異常な長時間勤務を強いられ、医療事故や救急患者の たらい回しにつながっていると指摘。現状解決には医学部の定員を増やすことだと述べました。看護師配置の最も手厚い「7対1病床」を削減する厚労省の計画 には「看護師の待遇が悪化する」と批判しました。
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ほかに、介護保険、病床削減、地域包括ケアなどについて三人が陳述しました。
九〇代の指宿八洲夫さん(東京都)は、介護保険サービスを利用する当事者として発言。「要支援」が削られると家事援助のホームヘルプサービスが保険で受け られなくなること、一定の技術を持ったヘルパーから、ボランティアに移行される不安を訴えました。
日本医師会の中川俊男副会長は、株式会社参入や市場化推進について問われ「基本的に医療は非営利。利益は配当などでなく、医療の再生産のみに使われるべ き。配当や利益を追求する企業は、採算性のない地域から簡単に撤退する。それでは地域の医療は守れない」と指摘しました。
東京医科歯科大学の川渕孝一教授は地域包括ケアについてふれ「在宅死の増加=制度改革の成果」でなく、「独居高齢者の増加→発見の遅れた孤独死の増加」 ではないか。医療改革の多くの失敗から学ぶべき、と述べました。
(民医連新聞 第1572号 2014年5月19日)