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民医連新聞

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リアル社会を生きるゲイ職員の性講座(4) 文・杉山貴士 なんで私が民医連に?

私と民医連との出会いは、性教育研究会の恩師から「性教育を学ぶなら、山本宣治(山宣)のことをしっかり学ばないといけない」と教えられたのがきっかけでした。民医連は、山宣の死をきっかけに作られた医療機関なのです。
彼は、戦前の悪法である治安維持法に反対した唯一の代議士で、暗殺されてしまいました。通夜の席上、貧しい人たちのための医療機関の設立が発議され、民医連のルーツである無産者診療所がつくられました。
私は学部を卒業後、私立学校の教員になりました。その後、家庭科免許の取得に関西に行き、そこで出会った男性への思いや研究志望の再燃もあり、京都の大 学院へ進学。「ゲイの中高生の教育環境を分析し、彼らを支援・援助する方策を見出す」という研究で、当事者の語りを集めたりもしました。しかし修士2年も すぐに終わりが見えました。博士課程に進学したくてもお金はない。生活のために働かねばいけない状況でした。学んだことが活かせる、少なくとも接点が見い だせるものを…と考え、頭に浮かんだのが山宣でした。「ゲイの研究をしていました」では就職に不利(というか、言えない)なので、副専攻であった「山宣の 性教育」で、民医連とつながったのです。
尼崎医療生協の就職面接では「山宣を研究している学生がいる」と話題になったと、後から当時の上司たちに聞きました。
山宣が政治家になるきっかけは、性研究・性教育実践を通じてだったといいます。山宣は研究者として人間の性を追求したことで、当時の「人間らしい性のあ りかた」への抑圧、例えば、富国強兵をささえた「産めよ増やせよ」政策など、政治の問題に行き着いたのでした。「政治と性」はとても密接です。私の性教育 の恩師は社会科教員で、「なぜ先生は性教育と関わるのですか?」と聞かれると、「セイジ(政治)教育のジが取れてセイ(性)教育になった」と答えていまし た。人間らしさ・人間らしい生活には、「その人らしい性のありよう」が不可欠です。かくして私と民医連の縁ができたのでした。
性研究・性教育実践家としての山宣について次回ご紹介しましょう。


すぎやま・たかし 尼崎医療生活協同組合理事会事務局課長、法人無料低額診療事業事務局担当、社会福祉士。著書に『自分をさがそ。多様なセクシュアリティを生きる』新日本出版社、『「性の学び」と活かし方』日本機関紙出版センターほか

(民医連新聞 第1572号 2014年5月19日)