だから安保はいらない (2)屈辱の改定内容 基地恒久化と核もちこみ
旧・安保条約が一九五二年に締結されたことで、日本の米軍基地は拡がり国民は怒りました。条約改定を迫られた当時の岸信介首相(安倍首相の祖父)は米国と交渉し、六〇年二月に改定案を国会に提出します。
新・安保条約のタイトル「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力および安全保障条約」には、旧条約にはなかった「相互協力」という文言が加えられ「対等な日米関係」という触れ込みでした。
しかし、米軍基地は維持されるうえ、旧条約にはなかった日米の戦争協力の条項(五条)や、日本の軍備拡大を義務付ける条項(三条)が盛り込まれました。
事前に改定内容を知った国民の間に、「戦争に巻き込まれる」との不安が広がり反対運動が高揚します。労働組合の総評や社会党、共産党、平和団体などが五 九年三月、 「安保条約改定阻止国民会議」を結成。二〇〇〇以上の地域組織を作り、一年半にわたって運動を展開しました。国会提出の反対署名は二〇〇〇万筆を超えまし た。
政府・自民党は、国会内での野党の追及と国会外で湧き上がる反対運動を突破して、なりふりかまわず新安保条約の成立強行をはかりました。六〇年五月二〇 日午前零時過ぎ、岸内閣は国会に警官隊や暴力団を導入して衆議院で強行採決します。国民の怒りに参議院では一度も審議できず、六月一九日に自然成立しまし た。
京丹後市のレーダー基地も
条約改定で「米軍基地の恒久化」が決まりました。現在、日本には一三二カ所の米軍基地があ ります。昨年二月の日米首脳会談は突然、京都府の京丹後市に一三三番目となる米軍レーダー基地を建設すると発表。事前に何も知らされなかった住民の反対運 動が起きています。こんなことになるのも、新安保条約第六条により米国は日本のどこにでも基地を置くことができるからです。
「密約」も大きな問題です。岸首相とハーター国務長官(当時)は、日本における米軍の配置や装備の重要な変更、戦闘のための基地使用については事前協議をすると合意しました。
しかし一方、公にならない形で「核兵器を搭載した軍用機や艦船の飛来、日本領海、港湾への立ち入りは事前協議の対象にならない」との密約を交わしまし た。核搭載船の日本寄港など、これまで何度も核持ち込み疑惑が取りざたされていますが、一度も事前協議はありません。
ほかにも、いわゆる“思いやり予算”で米国本土に基地を置くよりも安上がりといわれること、米国の戦争へ参戦義務を負わされたこと、「治外法権」的な日 米地位協定、日本の経済と暮らしを変えた経済条項など多くの問題があります。これらの問題について、今後の各論で取り上げます。
(安保破棄中央実行委員会)
(民医連新聞 第1570号 2014年4月21日)