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民医連新聞

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リアル社会を生きるゲイ職員の性講座(1) 文・杉山貴士 自分のセクシュアリティを語ることから

 セクシュアリティって「いったい何のこと?」という人が多いかもしれません。セクシュアリティとは「性のありよう」で、その人を構成する不可欠な 要素です。私もゲイの自分を受け入れられなければ、本当の自分を押し殺し、結婚・子どももいて…な家庭をつくっていたかもしれません。紆余曲折ありながら も、今は民医連事業所に勤める相方くんと猫2匹と生活し、尼崎医療生協で仕事をしています。
 人間は自分の性と向き合うことで自分の人生を切り拓いていくのだと感じます。ゲイである私の経験・体験をお話ししながら、セクシュアリティについて考えてみましょう。

初めて本当のことが話せる

 ゲイを自覚したのは高校2年生の頃。周りの男の子のように女の子に関心がない。高校に入れば変わるだろうと思っていたのですが、同級生の男の子を好きに なる自分を変えられずに悩みました。途方に暮れていた高校3年生の夏、同性愛者を肯定的に取り上げたドキュメンタリー番組を見て、「自分だけではない。普 通の人がいるじゃないか」と大いに励まされ、必死に勉強をして大学受験をしたことを思い出します。番組に出ていた大学とその周りの大学しか受験しないとい う徹底ぶりでした。
 第一希望の大学には不合格。その隣にある大学に進学し、親には「小学校教員になる」と話し、片道2時間半の通学をするはずでした。しかし大学では、コンパなどいやでも異性愛を意識する場も多く、大学不登校になりました。
 「このままじゃだめになってしまう」と思い、番組に出ていたゲイ団体の事務所の扉を恐る恐るたたいたのでした。ゲイ団体の活動にかかわることで、ゲイで ある自分を受け入れること、ゲイは異性愛社会では差別され抑圧されていること、社会運動の大切さなどを学びました。なによりも「やっと本当のことが話せ る」「友達と好きな男の子の話をできる」という「遅れた思春期」を取り戻すことができたのでした。
 でも、大学卒業後はどんな仕事をしていけるのか…不安は残ったままでした。セクシュアリティは進路や人生をも変えるものなのです。


すぎやま・たかし 尼崎医療生活協同組合理事会事務局課長、法人無料低額診療事業事務局担当、社会福祉士。著書に『自分をさがそ。多様なセクシュアリティを生きる』新日本出版社、『「性の学び」と活かし方』日本機関紙出版センターほか

(民医連新聞 第1569号 2014年4月7日)