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民医連新聞

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相談室日誌 連載364 資格書の人に非常な行政 受療権守るには― 中山志野(愛知)

国民健康保険が資格証明書になっていたAさん(四〇代、男性)は、高熱のため当院を受診。胆嚢炎の診断で入院となりました。
 Aさんは正社員でしたが、職場は社会保険に加入していませんでした。収入は安定しているものの、住宅ローンや他市に住んでいた頃の国保料や税金の滞納も あって、名古屋市での国保滞納額は数十万円になっていました。
 名古屋市では、資格書の人に短期証を交付する条件を、(1)滞納の半額を一括納付(2)滞納総額を二年で完納する分納計画をたてて六カ月間納付継続する、のいずれかとしています。
 Aさんには滞納の半額を一括納付できるような資力はありません。区のみならず市役所にも交渉しましたが、市役所は「資格書を交付しているということは保 険診療を認めているのであり、無保険とは全く違う」と述べました。私たちが「窓口で全額自己負担する必要があり、患者には資格証明書と無保険になんら差は ない」と訴えても、とりあってくれませんでした。
 Aさんはがんの疑いありと診断されたため、「傷病により保険料納付が困難」と申告する「特別の事情届」を提出し、短期証が交付されました。しかし、同市 ではその特別の事情に関しても「世帯主又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと」という事由に対し、「病気・負傷」の考え方を 「三カ月以上就労不能となる程度のものをいう」との内規に基づいて運用。受診が必要な状態でもこの内規に該当しなければ、保険証は交付されません。
 国保の保険料負担は重くなる一方です。今回のように多額の滞納を抱え、資格証明書で受診する人もますます増えることでしょう。医療を受ける必要性に迫ら れている人にさえ、条件を満たさない限り保険証は交付できないと頑なに主張する市はあまりに非情です。
 今年度の当県連の学術運動交流集会の社保特別分科会では、資格証明書患者への対応について意見交流を行いました。事業所を越えて事例を共有し、どのよう に行政と話をすれば良いかを検討することが大切だと認識しました。受療権を守るために、たたかい続けたいと思います。

(民医連新聞 第1565号 2014年2月3日)

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