憲法なう(9) 天皇(2)
国民主権の下、日本の「象徴」と位置づけられた天皇は、政治権力を一切持たず、公的な行為としては国事行為しか行えない、と定められています。国 事行為とは日本国憲法六条と七条に列挙されている、形式的・儀礼的な行為です。たとえば内閣総理大臣の任命や成立した法律の公布、栄典の授与などです。す べて国会や内閣が決めておいて、天皇がいわば「権威づけ」をするわけです。
しかし実際には、国事行為のほかにも、被災地訪問や式典参加出席など、天皇は多くの「公務」を行っています。どれも権力的な行為ではないにせよ、「天皇 の権威を利用していいのはここまで」と国事行為を限定した憲法の趣旨に反していて、問題だと言えます。しかし、事実上の「公務」増大がすすんでいるのが現 実です。
明日の自由を守る若手弁護士の会
(民医連新聞 第1565号 2014年2月3日)
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