被災地発 事故から2年住民調査 被曝防御や要求は― 郡山医療生協(福島)
当法人は今年四~五月、「放射能に関するアンケート」を行い、県内二四市町村の組合員、職員ら八二〇人が回答。性別は男性二二・ 九%、女性七六%。年齢は四〇歳未満二〇・一%、四〇~六〇代五二・五%、七〇歳以上二三・六%でした。アンケートは原発事故の被災地で暮らしていくうえ での不安や悩みを把握し、今後の「核害対策」に反映するのが目的。事故から二年以上が経過し、住民意識の変化も明らかになりました。
放射線量測定や除染、うがいなど被曝を避けるための行動を聞いたところ、「以前はしていたが、今はしていない」との傾向が強く表れました(表)。自由回答欄には「放射能を考えることに疲れた」との記述も。事故直後は意識的だった行動も、二年が経過して関心を持ち続けることに疲弊している様子もうかがえます。
一方、県内全ての原発を廃炉にすることについては、「賛成」八〇・一%、「反対」二・三%、「どちらともいえない」一三・七%と、脱原発への思いは変わりません。
また、ボランティアとしてできることを聞いたところ、「線量測定の支援」二一・九%、「原発事故避難者の支援」(見守り、昼食会など)一七・一%、「子 ども保養企画の付き添い支援」九・九%など、自らも活動にとりくもうという意欲が感じられます。
不安に思うことは「子どもや家族の健康被害」二四・一%、「子どもの将来」(就職や結婚での差別)一八・五%、「自分の健康被害」一七・七%、「福島の 産業の衰退」一四・五%となり、健康と将来に対する不安が上位を占めました。
子どもや孫を放射線量の低い地域に避難させたいと思いますかとの問いに、「既に避難をさせた」五・二%、「避難を準備中」一・二%、「避難させたいが事 情がありできない」五七・三%、「どちらともいえない」二一・九%でした。避難させるかどうかの葛藤など、ストレスを抱えながら暮らしている実情が分かり ます。
早期廃炉と早期除染を
放射能について相談できる人や場所について、「ある」三三・九%、「ない」五三・七%で、 相談機能の重要性が浮かび上がりました。法人に望むことは「内部被ばく検査と甲状腺エコー検査」三〇・五%、「放射線や健康問題など情報提供」一七・ 三%、「脱原発」一一・五%、「放射線に関する学習会」七・八%でした。健康を守るとりくみが期待されています。
自治体や国に対しては、「原発の早期廃炉」二一・九%、「自宅等の早期除染」一三%、「汚染土の処理施設建設」一二・六%、「健診の無料化」一二・ 二%、「原発の状況の開示」八・八%でした。安心して暮らせる環境を取り戻すため、早期除染と健診の無料化、そしてなによりも原発の早期廃炉を求める声が 明らかになりました。核害対策委員会ではこれらの結果を踏まえ、「核害の街に生きる」活動に反映させたいと考えています。
(郡山医療生協核害対策委員会)
(民医連新聞 第1561号 2013年12月2日)