生活保護2法案参院で可決 全日本民医連が抗議声明を発表
生活保護法の一部を改正する法律案と、生活困窮者自立支援法案が一一月一三日、参議院本会議で可決されました。同法案は、困窮しているにもかかわ らず、生活保護を受けていない世帯が八割にものぼる現状を、さらに悪化させることにつながります。先の通常国会で審議されましたが、申請権侵害と扶養義務 強化につながることなどが指摘され、反対の声におされて廃案になったものです。
参議院の厚生労働委員会で行われた審議はわずか八時間半でした。自民、公明、民主、みんな、維新、生活の党の議員が賛成。反対したのは共産、社民議員と無所属の二人です。
なお、一二日の厚労委員会での採決にあたっては、重要な附帯決議が出ました。生活保護法改正に関しては「保護申請時の運用を変更するものでなく『水際作 戦』はあってはならない、扶養義務履行が要保護認定の前提や要件ではない」とする内容。生活困窮者自立支援法案については「生活保護への移行を促す」との 内容です。
全日本民医連は、一四日に声明を発表し、「今回の『改正』は、生活保護申請を困難にし、憲法二五条が保障する生存権を国民から奪う」と指摘、衆議院での徹底審議と廃案を求めています。
■研究者や職能団体も「反対」
今回の法改正には、研究者一〇〇〇人が反対を表明するなどかつてない運動に広がっています。
一一月二〇日に開いた緊急院内集会「生活保護『改革』を問う」には、日弁連や日本難病連、障害者団体とともに、日本医療社会福祉協会や日本精神保健福祉 士協会の職能団体も発言。日本医療社会福祉協会の葛田衣重さんは、「無保険の市民が数多く搬送されてくる医療現場では生活保護制度が命綱」と、医療現場の 実態を紹介しながら法改正への反対を表明しました。
【プログラム法案採決強行への抗議声明を発表】
一一月一五日、衆院厚生労働委員会が「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推 進に関する法律案」(プログラム法案)を採決したことに、全日本民医連は抗議声明を発表しました。法案は国民負担増と給付削減の「社会保障制度改革」のす すめ方を明示するもの。社会保障の公的責任を投げすてる内容で「受益と負担の均衡」を繰り返し強調しています。
(民医連新聞 第1561号 2013年12月2日)