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民医連新聞

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相談室日誌 連載342 生活保護制度 守る運動を― 久保 哲(徳島)

 「医療費が払えず治療を中断」「保険証がなくて来院した時にはがん末期」―。民医連のSWなら、誰もが経験しうる事例です。
 そんな事例を無くし、患者の受療権を守るために、当院でも無料低額診療事業を始めました。二〇一一年四月から開始。現在一三世帯一七人の患者さんが適用対象になっています。
 対象の患者さんには、生活保護基準以下で暮らしている方もいます。子どもの通園などでどうしても車が必要なため、生活保護申請にいたらない人です。切り 詰めた生活ですが「今まで中断していた治療も、お金の心配をせずに安心して病院に行ける」と喜ばれています。
 その一方、今年八月に行われた生活保護基準の引き下げは、無低診の認定基準にも大きく反映される出来事でした。無低診は生活保護だけでは守れない患者の 受療権を守る制度です。その基準にまで影響する許されない改悪です。
 九月八日、「生存権裁判を支えるとくしまの会」を当院や保険医協会、労組などといっしょに結成しました。きっかけは一年前に金沢大学の井上英夫先生の講 演で「生存権裁判を支援する会を、原告のいない徳島県でも結成して、生活保護制度改悪阻止の全国的な運動を展開してほしい」と呼びかけられたことです。
 生活保護費切り下げに対する審査請求が全国でとりくまれている今、裁判をも見据えて、全国でSWが支援運動をささえています。職能団体の活動や「支援す る会」の結成にとりくみ、事務局を担うSWの仲間も増えています。
 ソーシャルワーカーの倫理綱領には「社会に対する倫理責任」があり、「ソーシャルワーカーは、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利 用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける」と規定しています。
 SWは相談室内の業務にとどまらず、社会に働きかける時がきていると思います。

(民医連新聞 第1559号 2013年11月4日)