第11回全日本民医連 学術・運動交流集会in北海道 医療・介護実践 全国から730演題 仲間たちと学びあう
10月4、5日、全日本民医連は第11回学術・運動交流集会を札幌市内で開催し、全ての県連から約1200人が参加しました。
「他の職種の報告の中には初めて聞くとりくみもあった。事業所に帰ってから、関連する職場に知らせたいです」。分科会に参加していた看護師の山下恵さん(兵庫)は明るい顔で語りました。
全日本民医連の学術・運動交流集会は二年に一度の開催。医療・介護や社会保障運動、職場づくりなど現場の実践を全国から持ち寄って口演やポスターなどで交流します。
■民医連の「宝の山」が
集会オープニングを盛り上げたのは地元民謡のソーラン節。北海道民医連の看護師、小田はるみさん(勤医協札幌病院)が歌い手。
集会実行委員長の堀口信全日本民医連副会長が、今集会のテーマ「平和で安全な社会づくり、生存権・健康権の保障、地域再生の架け橋になろう、チーム医 療、諸施設との連携、地域の人々との共同を強めよう」を読み上げ、「無差別平等という民医連の揺るがぬ立場を発展させ、医療、介護、社会保障、たたかいの 方向を示しています」と、テーマに込めた意味を紹介しました。
全日本民医連の藤末衛会長は、「民医連総会の半年前に行われるこの集会は、民医連の『宝の山』。この二日間で交流された内容は、活動の総括や運動方針に 反映されます」と意義を述べました。そして民医連が創立六〇周年を迎えるまで歩んでこられたのは、(1)日本国憲法を守る立場で政治的な問題もタブー視せ ずとりくんできた、(2)非営利事業、(3)SDH(健康の社会的決定要因)の探究や「共同の営み」の医療観に象徴される姿勢があったから、と語り 「WHO(世界保健機関)は『健康を守るためには社会に働きかけ、地域の人々との共同を』と提起している。私たちもこの世界標準をめざし、ともに学ぶ二日 間にしましょう」と呼びかけました。
記念講演は、東京大学の高橋哲哉教授が「『基地、原発、国防軍』―平和憲法こそ基準に」と題して行いました。
■働く地域は違っても
遺棄毒ガス兵器被害者検診と医の倫理をとりあげたランチョンセミナーをはさみ、午後から二一会場で分科会とポスターセッションを行いました。
医療実践からまちづくりまで三一にわたるテーマで報告された演題は、約七三〇本。また今回は過去最高の一〇〇〇本を超える演題応募がありました。発表へ の質問や意見、出された悩みへの情報提供など、活動地域は違っても、民医連がめざす医療・介護で結ばれた参加者たちの議論は、白熱しました。
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二日目は、テーマ別セッション。
「生存権・健康権を守る医療・介護の実践~『自己責任』論をのりこえる人づくり・職場づくり」「地域包括ケアを医療と介護の連携から考える」「日本の SDHの探求と課題」の三テーマと、創立六〇周年記念としても位置づけた国際シンポジウム「原発に依存しない東アジアをつくるために~医療者の目から」を 行いました。
(民医連新聞 第1558号 2013年10月21日)