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民医連新聞

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●地域つなぐ共同組織● 年をとっても住み続けたいから 東京・三多摩健康友の会

 共同組織は「民医連のあらゆる活動をともにすすめる」パートナー。友の会や医療生協組合員など全国に約355万の仲間がいます。 10月に拡大強化月間がスタート。東京都西部、12市3町1村に2万4086人(3月現在)の会員擁する三多摩健康友の会は「安心して住み続けられるまち づくり」にとりくんでいます。(丸山聡子記者)

 「ひだまりは最高! だよね」。吉住美小夜さん(72)が、夫・敏夫さん(79)に語りかけます。
  三多摩健康友の会府中支部が運営する、くつろぎの場「ひだまり」での一幕です。府中診療所の三階スペースで、毎週火・金曜日の午前一〇時~午後二時まで開 いています。九月二四日が一周年。翌日が誕生日の敏夫さんを、スタッフとお客さんみんなで祝い、笑顔が弾けました。
 吉住さん夫妻はオープン時からの常連です。敏夫さんは脳梗塞を繰り返し、先月も入院したばかり。一周年に二人でコーヒーを飲もう、と楽しみにしていまし た。美小夜さんは「診察後にエレベーターで上がればすぐ。車いすでも気兼ねなく入れるのがいいね。知った顔が増えていくのも嬉しい。日々の疲れが癒やされ ます」と話します。
 ひだまりでは、コーヒーと紅茶が一杯五〇円。中心を担うのは、同支部事務局次長の金子ゆりさん。喫茶店を営んでいた経験もあり、慣れた様子で目を配り、声をかけます。

「安心できる場」作ろうと

 府中市には比較的“裕福な街”のイメージがありましたが、ひとり暮らしや老老世帯は年々増え、高齢化率は一九・三%。孤独死も出ています。「誰とも会話 せず過ごす高齢者が増えている。診療所に来ても、帰ればまた一人。気軽に立ち寄れる場があれば」と、以前デイサービスで使っていたスペースに「ひだまり」 を誕生させました。
 診療所からエレベーターで行けるひだまりなら、外出をあきらめていた患者さんも寄ってみる気になれます。知らない人同士で会話が生まれたり、人の気配を楽しみながら時を過ごす人もいます。
 昨年から金子さんが事務所に常駐するようになると、寄せられる相談が増えました。生活と健康を守る会や地域包括支援センター、行政などにつなぐこともあ ります。八月からは「お助け隊」と命名したボランティア活動もスタート。電球の交換など日常のちょっとした困りごとに応えています。
 月一回の友の会ニュースは一五〇〇人を超える会員宅に手配りしています。「妻が入院し心配」「愛犬が死に、落ち込んでいた」など、会員の様子が分かり、 相談につなげるケースも。「これは府中支部の宝」と金子さん。今は、八五歳以上の会員約三二〇人への訪問も、役員たちが行っています。

まちづくりと医療をつなぐ

 居場所づくりとともに、三多摩健康友の会が七つの支部でとりくんでいるのが、「認知症予防いきいき教室」。リハビリ専門医が内容を監修。保健師や健康運 動指導士、管理栄養士ら専門職の講師で、一年かけて認知症を学びます。月一回、体操と学習をセットで二時間。「認知症と生活習慣病」「認知症とくすり」な どのテーマで学習してきました。
 秋川流域支部の教室には、毎回三〇人程度が参加しています。民医連事業所とつながりのない住民も参加。五回目のこの日も、友人に誘われて初参加した八〇 代の女性が。「この年になると新しいことを学ぶ意欲が湧かないが、誘ってもらって張り合いが出た」と。
 終了後は、支部役員と講師で振り返りも。「ひとり暮らしのAさんは最近物忘れが多いので、誘った」など情報を共有し、気になる人には、後日声をかけています。
 役員の一人、渡辺綾子さんはこの地域で暮らして約四〇年。三世代同居が普通だった地域も、老老世帯やひとり暮らし、空き家が目立ちます。「高齢化は地域 の課題。自治体も見守りや認知症予防に力を入れていますが、地域の人とつながり、医療に結びつけることができる友の会に、大きな存在意義を感じます」と渡 辺さん。健康相談会も昨年の倍に増やしました。
 三多摩健康友の会では、年を重ね身体が不自由になっても、認知症になっても、「人権が守られ、安心して住み続けられるまち」をめざし、会員数二万五〇〇〇人を目標に、地域をつないでいます。

(民医連新聞 第1557号 2013年10月7日)