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民医連新聞

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新しい福祉国家へ決意あらたに 全日本民医連創立60周年記念式典 レセプション

 全 日本民医連創立六〇周年記念式典とレセプションが八月二四日に東京で行われ、約五〇〇人が参加しました。民医連の運動の広がりを示すように、日本医師会や 他の民間病院、海外の代表ら多彩な顔ぶれ。新しい福祉国家の実現に向け、「架け橋」としての役割を発揮しようと、決意を新たにしました。(新井健治記者)

 記念式典では、全日本民医連の藤末衛会長が主催者あいさつ。「六〇年は発展の歴史であると ともに、組織の存亡を揺るがす危機から再生した歴史でもあります。『一人で決めない、一度で決めない。困難は全国の知恵と連帯で乗り越える』を合言葉に、 困難を克服する過程でこそ民医連の団結は強くなりました。『運動の架け橋』『生存権とともに健康権の実現』をキーワードに、新しい福祉国家を実現しよう」 と訴えました。
 全国保険医団体連合会の住江憲勇会長、日本医師会の石川広己常任理事、キューバ大使館のエリザベス・バルデス・ミランダ参事官、共産党の小池晃参院議員が来賓あいさつ。日本看護協会などの祝電が紹介されました(別項)。
 石川常任理事は「民医連の六〇年は地域の人々の健康と生活を守る奮闘の歴史で、日本の医療で特筆すべきこと。国民の命と健康を守る立場で、日医と民医連 は同じ方向を向いている。国民皆保険を揺るがす市場原理主義が幅を利かせる時代に、力をあわせてがんばりましょう」と呼びかけました。
 小池議員は「六〇年は、国民の苦難あるところに民医連ありの歴史だった。社会保障の充実をはじめTPP反対、脱原発などあらゆる運動の架け橋として、民医連の役割はますます大きくなっています」と激励しました。
 六〇周年を記念して公募した手記「わたしと民医連」と、写真「民医連で輝く職員」の最優秀賞が表彰されました(別項)。
 続いて教育者で元東葛看護学校校長の三上満さんが「育つこと、育てること、育ち合うこと」と題して記念講演。“金八先生”のモデルにもなった中学教師 だった三上さんは、生徒が大好きな三点セット((1)目当てを持ってがんばれる(2)達成感(3)よくやったねと、認めてもらえる)を提示。「三点セット は、すべての職員が主人公という民医連綱領の精神そのもの。民医連の組織の値打ち自体が人を育てる」と話しました。
 また、「困難が大きけりゃ、こっちだって大きくなってやるだけのことさ」との言葉を紹介し、「私たちの器は決まったものじゃない」とエールを送りました。
 チェルノブイリ原発事故の被害者で、歌手のナターシャ・グジーさんのコンサートも開催しました。また、ロビーでは六〇年の歴史をパネルで紹介。全国の自 転車平和リレーとピースマラソンの報告や、使用したタスキ、Tシャツの展示、共同組織の絵手紙、短歌の展示もありました。

〈レセプション〉
他病院、海外からも

 式典に続いて行ったレセプションでは、来賓として韓国緑色病院の梁吉承(ヤン・ギルスン) 院長が「韓国民主化運動から生まれた緑色病院はようやく一〇年。民医連の六〇年の歴史を見て、大きな力を得ています。韓国と日本の平和を愛する人々が手を 取り合いすすみましょう。共につくる平和な未来へ」と連帯のあいさつ。
 フランス保健衛生センター運動代表のミシェル・リムーザン医師は、格差と貧困が広がるフランスの実態を告発。欧州でも新自由主義経済が勢いを増し、国民 の健康権が侵害されていると報告しました。「たたかわず、そして連帯なくしては、私たちの理想は夢のまま終わってしまう。医療における社会的な不公平とた たかうため、世界中の医師の協力団体をつくりましょう」と呼びかけました。
 全日本民医連名誉会長の莇昭三医師の音頭で乾杯。続いて、各界から一二人の祝辞を受けました(別項)。佐久総合病院の西垣良夫副院長は「当院は来年、七 〇周年を迎えます。『農民とともに、住民とともに』をスローガンに、医療の民主化に努めてきました。民医連とも、大いにいっしょにやっていける」と話しま した。
 NPO法人「医療制度研究会」副理事長で、済生会栗橋病院院長補佐の本田宏医師は「長年、医師不足の解消を訴えてきました。民医連の応援がなければ、ここまでがんばれなかった」と感謝を述べました。
 六〇年前の結成総会にも参加した全日本民医連顧問の肥田舜太郎医師は「一〇万人の職員が毎日毎日、辛い思いをしながら働いているのは、世界に例のない尊 い実践をしているから。私の自慢は息子に続き孫も民医連に入ったこと。どうか、民医連を次世代につなげてください」と訴えました。
 最後に一五人の青年職員が登壇し、京都、岡山、広島、徳島、鹿児島の代表が自転車平和リレーやピースマラソンを報告。吉良佳子参院議員(共産)のリード で、「医療の民営化反対、原発再稼働反対、命を守れ」とシュプレヒコール、会場が一体となりました。

祝電、祝辞を寄せて下さった方々(別項)

(本文中掲載は除く)

記念式典祝電
日本看護協会 坂本すが会長
全国自治体病院協議会 邉見公雄会長
日本薬剤師会 児玉孝会長
国際HPHネットワーク事務局長 ハンヌ・ターネセン教授   

レセプション祝辞(敬称略)
日本共産党衆院議員 高橋千鶴子
日本共産党参院議員 吉良佳子
全国労働組合総連合議長 大黒作治
日本医療福祉生協連副会長 尾関俊紀
農民運動全国連絡会会長 白石淳一
原爆症認定集団訴訟 全国弁護団連絡会事務局長 宮原哲朗
共同組織活動交流全国連絡会代表委員 小森佳子
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟 中央本部会長 柳河瀬精
東京過労死を考える家族の会代表 中原のり子


手記と写真の受賞者(別項)

(氏名・県連・事業所名・職種の順。敬称略)

手記「わたしと民医連」

最優秀賞 徳永とも子(島根・総合病院松江 生協病院、ケースワーカー) 民医連に入職して35年。さまざまな人にささえられて今があることに、感謝の意味を込めて応募しました。遠慮なく人権にこだ わって働ける職場は、民医連以外にはあまりありません。若い人たちに民医連の良さを伝えていきたい。

優秀賞 菅家まなみ(群馬・利根中央病院、看護師)、森さおり(長崎・上戸町病院、事務)、森下孝子(熊本・水俣協立病院、看護師)

佳作受賞者一覧(敬称略)
菊地基文(北海道・勤医協札幌病院、MSW)、矢崎とも子(宮城・坂総合病院、医師)、相良幸子(福島・特別養護老人ホームはなしのぶ、事務)、下河雅彦 (埼玉・老健みぬま、介護福祉士)、松田貴弘(京都・葵会、事務)、竹崎京子(京都・待鳳診療所歯科、歯科技工士)、橋本節子(京都民医連中央病院、看護 師)、河石茂子(兵庫・東神戸病院、看護師)、前律夫(岡山・水島南診療所、医師)、吉田宗代子(熊本民医連退職者の会、看護師)/特別賞:大谷励(熊本 民医連退職者の会、事務)

写真「民医連で輝く職員」

最優秀賞 市村寛美(北海道・勤医協もみじ 台歯科診療所、歯科衛生士) 当歯科のある厚別区は札幌市内でも高齢化率が高い地域。団地の5階に住み、通院をあきらめていた高齢者宅に若手歯科医師が訪 問し、義歯をチェックしている様子を撮りました(写真上)。今後も地域住民に喜ばれる活動を続けます。

優秀賞 三村謙二(東京・小規模多機能施設ひまわりの家、介護支援専門員)、秋山貢(島根・松江生協リハビリテーション病院、事務)

佳作受賞者一覧(敬称略)
川上一(茨城・老健ナーシングホームかたくり、事務)、小河原聡(埼玉・老健さんとめ、介護福祉士)、末浪和美(東京社会医学研究センター、事務)、髙橋 みのる(東京・悠遊会)、齋藤たか子(神奈川民医連、事務)、宮崎幸子(神奈川・訪問看護ステーションふかさわ、看護師)、小池隆行(石川・城北病院、作 業療法士)、白石美栄(島根民医連、事務)、中村美夏(熊本・健康共同ファルマ、事務)、原勢津郎(熊本・くまもと北部健康友の会)

(民医連新聞 第1556号 2013年9月16日)