もんじゅ君のエネルギーのおはなし 第8回 大事故がなくても、原発は高コスト 文・絵 もんじゅ君
こんにちは。もんじゅ君です。残暑がつづくけれど、みなさんお元気ですだか?
ふくいち君は汚染された地下水が海に漏れていただけじゃなくて、地上のタンクがこわれて高濃度の汚染水がそのまま外洋へ流れてしまっていたらしいの。そ れだけでも数千兆ベクレルもの放射性物質が海に拡散されたことになるんだって。時間がたつほどに、手のつけようがなくなってきている感じだね。
原発はほんとに安い発電方法なの?
震災直後によくいわれていたのは、「原発は安い発電方法。だから必要」というもの。だけど福島の事故のあとしまつには数兆~数十兆円もの費用がかかり、それはみんなの税金から出るんだよね。ちっとも安くないの。
じゃあ、もし事故が起きないとしたら……原発って安くて合理的な方法なのかな?
じつはそんなことないんだ。経産省さんや電力会社さんが事故前にしめしていた「原発でつくった電気はこんなに安いよ!」という計算は根拠があいまいな の。シミュレーションのための数字が、原発をかなりえこひいきしたものばかりになっているんだよ。
バックエンドコストが計算されていない
原発がほかの発電方法とおおきくちがうのは、あとしまつできない放射性廃棄物がたくさん出 てしまうこと。使いおえた核燃料は近づくだけで人が死んでしまうほどのつよい放射線を出すし、そのほかにも放射能を帯びたゴミがいっぱい出るの。無害にな るまでになんと10万年かかる、ともいわれているよ。
最初は「いつかゴミの処理方法が開発されるよね」って見切り発車で原発を使いだしちゃったけれど、いまもよい方法は見つからないままなんだ。フィンラン ドでは世界初の最終処分施設として500メートルもの深い穴を掘ったけれど、地震国の日本では地盤が動きやすいから地層処分はできないんだよ。
そういったバックエンド(=あとしまつ)費用をきちんと入れずに計算して、「原発は安い」といってきたの。でもゴミ処理を考えるだけでも、高くつく発電方法なんだね。
もんじゅ君/高速増殖炉。エネルギー問題のやさしいニュース解説で知られ、ツイッター(@monjukun)のフォロワーは10万人超。著書に『おしえて!もんじゅ君』(平凡社)など。公式サイト:http://monjukun.com
(民医連新聞 第1555号 2013年9月2日)
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