医療・介護被災者免除復活を―実態訴え記者会見 宮城民医連
【宮城発】宮城民医連は、七月二日に会見を開き、宮城県が被災者の医療費と介護利用料の窓口負担免除を打ち 切った影響を患者アンケートから報告、免除復活を求めました。県連では四月の打ち切りを受け、事業所で患者からアンケート五七一件を集めました。会見には 県連役員やSWなど五人が出席。質問が多く、三〇分延長するほど。
アンケートでは「治療を続けられるか心配」の回答が五割、「受診を抑制する」が四割、「生活費を削る」が六割。治療継続を心配する人の四割が「薬を間引 き」「検査を減らす」と回答(四割)、深刻な影響を示しました。仮設住まい、短期バイトや失業など収入が不安定な人ほど治療継続に不安を抱える傾向も。
四月以降、無低診の相談も増加。震災から二年以上たっても、生活再建が困難だというのに、医療や介護費用まで支払わねばならない、いのちが脅かされる状 況です。「長生きしていいの?」「子どもは受診させるが、親は我慢」「見捨てられた」と自由記載からも逼迫状況が伝わります。
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袴田智子SW(長町病院)は、視覚障害で働けない糖尿病患者(五〇代)の状況を紹介。住宅ローンがあって生活保護も使えず、治療費は無料低額診療で対応中だが、薬代が月二万円。薬代が払えず治療中断の懸念がある、と話しました。
安部加代子ケアマネジャー(松島医療生協)は、被災した利用者の例を報告。津波を受け周辺に船やトラックが流れ着いた地域にある自宅に現在も居住中。訪 問看護を中止し、週一回だけデイサービスを利用。電灯もテレビも切り「あとは何を節約したら…」と悩みます。津波から命拾いしたが、今は「助からなければ 良かった」と話す利用者も。「医療や介護費用の免除があれば、こんな気持ちにならない」と訴えました。
国も県も責任大きい
問題の根本には、被災者の医療費、介護利用料の全額援助をやめ、被災自治体に負担と責任をおしつけた国の姿勢があります。また、県政も国の責任を言うだけで、目の前で困難を抱える県民に向き合いません。
県連の坂田匠事務局長が「命の問題。免除復活を求めてゆく」と結びました。(田中千枝、県連事務局)
(民医連新聞 第1552号 2013年7月15日)