相談室日誌 連載374 障害者の年金相談 職員の思い感じた支援 岡田 武(長崎)
四月、Aさん(五〇代男性)の担当ケアマネから「Aさんが一月末の障害年金の更新手続を放置している。手持ち金もなく早急の対応を」と私たちに依頼が入りました。その約一週間後、Aさんが受診した際、診断書などの書類を日本年金機構に送付しました。
Aさんは、他県造船所の孫請け電気溶接工として就労中、四〇代で脳出血を発症し片麻痺に。退職して帰郷。職場に遠慮して労災申請はせず、近くの病院でリ ハビリ。その後、身体障害者の更生指導所に二年、授産施設に数年間入所。現在は当院に近い家賃三万円の賃貸アパートで独居中でした。
脳出血後遺症で、身障手帳2級。一本杖歩行で、階段昇降は手すりがあればなんとか可能。障害年金は月一〇万円程でしたが、近くに商店が無く、重い物も持 てないため外食や店屋物が多く、食費がかかりました。また、喫煙や飲酒もあり生活は乱れぎみ。一時は介護保険でヘルパーを利用してみましたが、利用料負担 なども問題で続きませんでした。
今回の年金一時停止で、Aさんは苦況に陥りました。社会福祉協議会に貸付金の申請を行いましたが対象外だと却下。疎遠だったお兄さんへ当座の生活費の貸 付や食料援助を相談、お兄さんは不満気味でしたが、翌日には現金一万円とコンビニ弁当が届きました。
大型連休を目前に、病院職員に支援を呼びかけると、缶詰やインスタント食品・お米券等が寄せられました。地域包括支援センターの援助で生命保険も解約 し、六万円程の解約返戻金。包括には今後の定期訪問も依頼しました。また、市障害者福祉センターからも「気になる利用者」としてフォローされ、担当者に継 続援助を依頼しました。
「決して一人じゃないけんね。多くの人があなたを見守っています」と話すと、Aさんは言葉をつまらせながら「本当にありがとう」と。
そして先日、本人から「年金機構から二回分まとめて振込通知が来た」と連絡がきて、安堵しました。包括・ケアマネ・当院職員の熱いハートを感じる事例でもありました。
(民医連新聞 第1551号 2013年7月1日)