“民医連の在宅活動が超高齢社会の展望に” 750人で交流 全日本民医連 第2回在宅医療・介護交流集会ひらく
六月八~九日、全日本民医連在宅医療・介護交流集会を東京で行いました。二〇一一年の初開催から二度目の今回は四四県連から七四九人が参加、関心の高さをうかがわせる規模に。
獲得目標は、在宅医療をめぐる情勢と活動の展望を深め、実践を交流し広げる、在宅医療を担う医師確保や養成の課題の議論、県連や法人での在宅・介護事業の中長期計画策定推進など。
講演は医療法人ナカノ会理事長の中野一司医師(鹿児島大学教授)。鹿児島で多職種による在宅医療を実践し、「長寿を目指す医療(キュア)」から、「天寿を全うする医療(ケア)」へと認識の転換を提起しています。
在宅活動はまちづくり
問題提起を行った野田浩夫・高齢者医療委員長(全日本民医連副会長)は冒頭、情勢に触れ、 自民・公明政権が社会保障である医療・介護をさらに縮小し、営利目的化を狙っていると指摘。その上で、人口や疾病、社会意識の変化から「二一世紀は在宅医 療・介護なしにまちづくりはできない時代」と強調。
そして、在宅をめぐる国民的な議論の焦点が(1)「病院から在宅へ」という政策が地域の受け皿を整備せず強行される是非、(2)在宅における終末期の倫 理と安全に関する国民的合意づくり、(3)多死時代※に、すべての人が最期までQOLの改善を保障される道を探る、の三点に絞られていると整理。ヘルスプ ロモーションの視点でまちづくりを目指す民医連の在宅医療・介護の方針と実践が、政府のもくろむ「地域包括ケア」構想の最大の対抗軸として、医療や社会保 障全体の展望を切り開く、と報告しました。
また、訪問診療患者の医療・介護現状調査(一二年二月実績。三三九加盟事業所が回答)と、在宅を担う医師確保と養成についての特別報告がありました。
豊かな実践を共有
全体会での指定報告は、六本。「所属するすべての医師が訪問診療に従事する在宅支援セン ター病院として活動」(兵庫・共立病院、藤本壮之医師)、「地域の保健室になろう、と活動している」(京都・ファミリークリニック仁和診療所、澤田いづみ 所長)という医師たちの報告や、複合型サービス、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(北海道・菊水在宅総合センター、菅原由美子保健師)、医療依存度の高 い有料老人ホームでの看取り(山形・虹の家こころ、松本ひろみ所長)など看護・介護の報告、歯科が在宅で果たす大きな役割(東京・大田歯科、吉田心一歯科 医師)、保険薬局の在宅実践(東京・地域保健企画、島野清薬剤師)が報告されました。
二日目は分科会を開催。終末期ケア、認知症ケア、チーム医療・連携、医師養成、住まい・まちづくり、の五テーマでそれぞれ学習や討議を深めました。
※多死時代…二〇二五年の年間死亡数が一六〇万人超との試算。病院死九〇万人・自宅死二〇万人という現状が推移すれば、五〇万人の死に場所が見つからない事態になる
(民医連新聞 第1551号 2013年7月1日)