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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈396〉 ARB(ACE)、利尿剤、NSAIDsの併用による腎障害に注意

 以前から、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と利尿剤の併用は利尿剤単独に比べて心不全による入院リスクを2倍に高めることが知られていま す。この併用にさらにレニンアンギオテンシン(RA)系降圧剤(ARBあるいはACE阻害剤)の併用が加わる、すなわちARBまたはACE阻害剤、利尿剤 およびNSAIDs(あるいはCOX-2阻害剤)の3剤の組み合わせは「三段攻撃(triple whammy)」と名付けられ、薬剤誘発性腎障害の要因となることも知られています。
 国立医薬品食品衛生研究所の医薬品安全性情報vol1 No.18(2003年)によれば、「2002年、急性腎障害として豪州ADRAC(Adverse Drug Reactions Advisory Centre)に報告された129件の症例のうち、28件がこれらの併用に関連するものであった。薬剤誘発性腎障害として報告された殆どが高齢の患者でこ れは3剤併用での腎障害であった(平均年齢76歳)。『三段攻撃』による腎障害における報告された症例の死亡率は10%である」と記載されています。
 民医連の副作用モニターにも、NSAIDsによる腎障害の報告が寄せられますが、よくみるとARBや利尿剤が併用されている症例がしばしば認められるこ とから、あらためて注意喚起が必要です。

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 ALLHAT試験以降、利尿薬が見直され、高血圧ガイドラインなどでもRA系降圧剤と利尿剤の併用が推奨されています。最近ではARBと利尿剤の配合剤 も多用されるようになってきており、これら3剤を併用する患者や、常時2剤を併用しており3剤目(通常NSAIDs)が追加される患者も増えていると思わ れます。薬剤誘発性急性腎障害が、こうした患者に軽いストレス(下痢、脱水など)が加わることで誘発されると考えられることから、リスク管理が必要となり ます。
 上記豪州ADRACでは、「ARB・ACE阻害剤、利尿剤およびNSAIDs(COX-2阻害剤を含む)の組み合わせをできる限り避け、高齢者や腎機能 障害のある患者についてARB・ACE阻害剤とNSAIDsを使用する場合は細心の注意を払うべき」としています。

(民医連新聞 第1550号 2013年6月17日)