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民医連新聞

民医連新聞

“生活保護基準の引き下げはいのちを危険にさらす” 緊急生活保護受給者実態調査で記者会見〈民医連〉

 全日本民医連は五月九日に記者会見を開き、加盟事業所の患者で生活保護利用者の生活実態調査の結果を公表しました。
 調査は、生活保護基準の引き下げを政府が決めたことを受け、緊急に全国の加盟事業所に呼びかけて二~三月に行ったもの。生活保護受給者の暮らしの実態から影響を考察しました。
 四三都道府県から集まった一四八二人のデータからは、いまの保護基準でさえ憲法二五条のいう「健康で文化的な最低限度の生活」に足りず、基準引き下げは 多くの命を危機に追い込みかねないことを示しました。長瀬文雄事務局長は、「引き下げは直ちに中止すべき」と訴えました。

 五〇~七〇代が回答者の約六割。生活保護の受給に至った理由の最多は疾病(五八%)。支出に関しては「きりつめている」が九三%。一日の食事は、三割が二食以下。「食事に満足している」との回答は四割足らずでした(図1)
 なお、子どものいる世帯では、七〇・四%が食費を月五万円以下に抑えており、平均五・八万円(二人世帯の食料支出・総務省)を下回りました。食事回数は、一七%が一日二食以下。成長への影響も心配です。
 社会的な孤立も目立ちました。七四%が地域行事に「全く参加しない」、冠婚葬祭でも過半数が「全く参加しない」と回答(図2)。発表は、毎日新聞やしんぶん赤旗が報道しました。当日資料は民医連のホームページで公開しています。

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不正な計算データで生保基準引き下げ?!

「生きていけない」と約200人が抗議の国会院内集会

 生活保護基準引き下げに反対する個人・団体で構成する「STOP!生活保護基準引き下げ」アクションが四月二五日、今年三回目の国会院内集会を開きました。
 経済ジャーナリストの荻原博子さんが基調講演。「足りないのは雇用の場。弱者の生保から引き下げるのは卑怯。日本は人にやさしい社会にならなければ」と強調しました。
 フリージャーナリストのみわよしこさんが、厚労省が大幅引き下げの根拠としている「生活扶助相当CPI」というデータが生活保護世帯の生活実態とかけ離 れていることを説明。生保受給者の九〇%超が「買ったことがない」と答えた電化製品などの物価下落を引き下げの根拠にしていること、リーマンショックの あった二〇〇八年を比較対象年とするのには疑念があることなどを指摘しました。そのうえで「国による生活保護世帯の実態調査が必要。基準引き下げはいった ん中止すべき」としました。
 「沖縄から出てきても仕事がなくホームレス生活。やっと見つけた仕事で体を壊し、生活保護で生きられた。引き下げでは生きられない」(首都圏青年ユニオ ン)「障害者の生保受給は健常者の六倍。障害者総合支援法の自己負担が払えず、生保になる人が増えている」(きょうされん)などの発言が相次ぎました。
 参加者は、公開質問状(集会宣言)を採択しました。

(民医連新聞 第1548号 2013年5月20日)