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民医連新聞

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生保でカンジャであたしの物語 “忘れられる孤独”と“発見されない恐怖” 文:和久井みちる

 生活保護利用者の多くは、病を抱えた「患者」でもあります。治療は生活保護利用中の患者にとって、大切な「専念すべき事項」です。病院に通院、または入院している患者さんが、自宅でどんな生活をしているか、想像したことがありますか?
 生活保護利用者には夫婦や親子の世帯もありますが、圧倒的に多いのは単身者です。体の具合が悪い時に、家でひとりきりというのは心細いものです。体がだ るくても、自分で買い物に行かなければ誰も買ってきてくれませんし、調理も洗濯も自分でやる以外にありません。起き上がるのも億劫な状態が続き、誰とも会 話しない日が続きます。天井や壁だけを眺めていると「自分はこのままどうなってしまうのだろう」という不安が、広がっていきます。「このまま自分がここで 息を引き取っても、誰も気づいてくれないのだろう…」という孤独と恐怖に襲われるのです。
 生活保護の利用者は家族と疎遠な人も多く、地域との関わりもほとんどないので、昼も夜もひとりぼっちで過ごしていることが多いです。長い時間のひとり ぼっちに耐えられないので、お酒を飲む人が増えます。ザワザワとにぎやかで人のいる場所が安心できる人は、パチンコに行くこともあります。たくさんの人の 中にいれば、もし倒れても、誰かが気づいてくれると思うからです。私も高熱でつらかった日、あえて外に出て座っていたことがありました。絶望的な気持ちか ら逃げるために、薬物に走る人もいます。社会でひとりきりじゃなかったら、手を出さずに耐えられることなのかもしれない…と思うのです。
 昨今、激しい生活保護バッシングの中で、生活保護利用者はますます孤立感を深めています。患者同士の自助グループやデイケアなど、社会的な居場所をたく さんつくり、生活保護の利用者であることも隠さずにいられる場所があれば、“忘れられる孤独”と“発見されない恐怖”から解放されて、生きることに前向き な生活にかわっていくことでしょう。

(民医連新聞 第1545号 2013年4月1日)

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