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民医連新聞

民医連新聞

事業所で太陽光発電! いつやるの?今でしょ!!

 日本で脱原発をすすめるために再生可能エネルギーの導入を市民自身が行おうと全日本民医連も呼びかけています。さっそくとりくんでいる民医連事業所があります。(矢作史考記者)

東京
きっかけは東日本大震災

 東京・武蔵村山市にある大南ファミリークリニック(旧伊奈平診療所)では、移転・立て替えに伴い昨年三月、屋上に太陽光パネル二八枚を設置しました(モジュール三菱製・蓄電システムなし)。発電量は事業所の電力の四分の一をまかなう三・五キロワットです。

地域からの期待

 クリニックの建て替えは二〇一〇年四月から計画。友の会や民主団体を中心に建設委員会を立 ち上げて地域から資金を募ったり、友の会の拡大などを始めていました。委員会が新しい建物への構想を出し合う中で、当初から「太陽光パネルの設置」につい ては提案されていました。しかし、建設予算や採算を考えると、実現するようには思われませんでした。
 しかし二〇一一年三月に起きた福島第一原発の事故で、その方向性は変わりました。武蔵村山は計画停電が行われた地域です。このため診療や在宅医療に大きな支障が出たのです。
 そんな中、友の会から「建て替えるなら、いざという時のための備えがほしい。太陽光発電がいい」という声が多数寄せられました。要望だけでなく「太陽光 発電を付けるなら一〇〇万円出す用意がある」という資金面での協力まで、複数の申し出がありました。
 クリニックの蓮池安彦事務長はその背景について「原発事故や計画停電などで、東京電力への怒りがあったんでしょう。しかも近くにある横田基地周辺はなぜ か停電しませんでしたし。再生可能エネルギーに期待が寄せられていた」と話します。
 委員会で太陽光パネル導入について、検討を重ねるうちに、設置への期待は大きくなり、最終的に建設資金一億五〇〇〇万円の目標を達成する事ができました。

脱原発でつながる

 同時進行でとりくまれた友の会会員増やしもすすみ、二〇一〇年四月の八〇〇人から、二年半 後には一六〇〇人を超え、ほぼ倍増。中には「自然エネルギー診療所を建設する」と、会員を増やした人も。友の会では一昨年九月、初めてバスをチャーター し、脱原発の集会に参加。その後も大規模な集会には継続的に足を運んでいます。
 クリニックで太陽光発電を始めるにはパネル、モニター、売電システムを含め、約六〇〇万円の費用がかかりました。
 一方、売電収入は一日平均九キロワット発電×年休日(主に休診日九八日に売電する)として、年間約一三万円の試算。
 「欲をいえばもう少しパネルの規模を大きくして売電できればよかったなと思います」と、蓮池安彦事務長は設置からの一年を振り返ります。
 「コストだけみれば課題はありますが、運動としてみれば地域で脱原発を願っている人とつながれるという利点があります。地域との共同が広がったことが、設置して一番良かったことだと思います」。

広島
災害時には貸出も

 広島中央保健生協では昨年六月末、「生協歯科ひろしま」や「福島生協内科クリニック」などが入る五階建てビル「生協けんこうプラザ」を建設。その屋上に二五五ワットの太陽光パネル一六〇枚を設置しました(モジュールはサムスン社製で蓄電システムなし)。
 建物の重量制限があるため、屋根に穴を開けないマグネット式を採用。また、畳一枚ほどのサイズごとにとり外して使用できるのも特徴です。
 災害による停電時など、クリニックの患者さんや職員、組合員など必要な人に貸し出せるようにしており、そのアイディアは歓迎されています。
 福島生協内科クリニックの所長で、全日本民医連の被ばく問題委員長でもある藤原秀文医師は「再生可能エネルギーは、環境保全だけでなく、地域の活性化に も役立ちます。そして何より、原発による発電を止めさせるという大きな意義があります。安倍新政権が原発再稼働へ舵を切っています。再生可能エネルギー導 入を社会貢献活動の一環という観点で、共同組織や地域の人たちといっしょに、積極的にとりくんでみてほしい」と語っています。

宮崎
所有地で発電を

 宮崎医療生協では法人が所有していた七三四坪の土地に太陽光発電システムを導入する事を決め、申請中です。順調にいけば、七月には着工する予定です。

(民医連新聞 第1544号 2013年3月18日)