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民医連新聞

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生保でカンジャのあたしの物語 (3)生活保護利用者の「1000円」の重み 文:和久井みちる

 前回は、「生活扶助費」の削減方針が決まったことと、「最低生活基準(ナショナルミニマム)」が引き下げられると多くの方に影響する、というところまでお伝えしました。今回は、生活保護利用者の「1000円の重み」についてお伝えしてみようと思います。
 あなたにとっての1000円は「高額」の類ですか? それとも「はした金」でしょうか。たとえば、気に入った柄のTシャツが1980円で売っていたら、見つけた瞬間に迷わず買いますか?
 生活保護利用者にとって1980円は、「これだけあれば3日は十分に食べられる」という金額です。ランチ代だけではなく、1日3食の3日分です。生保利 用者でTシャツに1000円を使う人は多くはないでしょう。私が生保を利用していた時も、衣料品はリサイクルショップか、大盤振る舞いの新品でも700円 台がせいぜいでした。
 単身者が食べるだけなら、財布に3000円入っていれば、なんとか1週間は暮らせます。外出するとお金を使うから出かけない…という人もいれば、家にい ると冷暖房を使うからずっと外にいる…という人も。煙草を吸いたいから食事は2食、という人もいれば、病気で食事制限があるから食費が一番かかっている… という人など様々です。
 私は持っていれば使いたくなる“根性なし”なので、使い過ぎないように、ふだんは500円しか財布に入れて歩かないようにしていました。とにかく、いつ も頭が計算機状態。今日はいくら使ったから、明日はいくらで抑えなくては…と、お金の事ばかりが頭の中でグルグルしてます。おいしそうなコンビニのデザー トの前で、どれだけ長いこと立ち止まり、葛藤しながら眺めていたかしれません。デザートに350円!? 主食でもないのに、払える金額ではありません。い つの日か生活保護でなくなったら、コンビニのデザートを心置きなく食べたい、そんなささやかなことが大きな夢でした。
 こんな大切な1000円なのに、今回の削減案は単身者で7000円、子どものいる世帯では最大で2万円(!)も引き下げようというのです。日々の暮らしにどれほどの打撃になるか、想像してみてください。

(民医連新聞 第1543号 2013年3月4日)

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