全日本民医連 第2回評議員会を開催 方針など4本の議案を採決
全日本民医連は二月一六~一七日、東京で第二回評議員会を行い、評議員八三人、理事など含め約一五〇人が参加し、方針と予・決 算、評議員会の議事運営規程の変更の四本の議案を採択しました。藤末衛会長は「社会保障の展望と憲法を守るために共同を広げよう」とあいさつ。長瀬文雄事 務局長が方針案を提案しました。
討論は(1)総選挙後の情勢の変化を深め変革の展望を作り出す(2)前回の評議員会以後の民医連の医療と人権・健康権を守る新しい共同の交流(3)人づくり・共同組織強化・経営の課題を論点に四八本。文書発言は八本でした。
情勢について
北海道の鈴木和仁評議員が旭川市で無低診患者の保険薬局の処方の薬代助成制度が実現したと報告。友の会が基金を作り、薬代を助成していたこと、市に高知市の制度を紹介し要請したことなどを発言しました。
平和の問題では神奈川の堀内静夫評議員が、中国・韓国で行った県連平和学校について報告。領土問題など近隣諸国との関係が危ぶまれる中、日本の加害の事 実を当事者から聞き、職員が戦争はしてはならないと実感。「世代や国境を越え交流を深めることで、戦争のない世界を実現できる」と語りました。また、沖縄 からはオスプレイ配備の状況が報告されました。
生活保護問題では全国調査実施の契機となった、尼崎医療生協病院のとりくみを兵庫の瀬井宏幸評議員が発言。また青森は生活保護について職員の意識調査を行ったと報告しました。
被災地の状況は岩手・宮城から報告されました。復興がすすまない一方、メディカルメガバンク構想など、復興を口実に新たな儲け口をつくろうという動きも。医療倫理上問題がある、と指摘がありました。
各地のとりくみ
埼玉、京都、奈良から原発事故避難者の支援や健診活動が報告されました。福島の避難者が一万人近く身を寄せる山形からは、避難者支援団体から甲状腺エコー検査を要請され、健康相談会を始めています。同じく愛知からも健診を通じ、民医連への信頼が高まっているとの報告が。
福島の松本純評議員は各地の支援報告に感謝を語り「これからも全国にいる避難者を見守って」と呼びかけ、現地で医療を守ってゆく決意を述べました。
再生可能エネルギーへの挑戦も。宮崎では所有する土地で太陽光発電を計画。
医療活動は、中小病院の課題などを鹿児島や千葉から。熊本からは水俣病の救済対象外の患者が不服を申し立て、裁判を準備していると報告。「最後の患者を救済するまでたたかいは終わらない」と話しました。
介護分野では東京から介護職の養成と組織化について。長野からはサービス付き高齢者住宅の課題について、終末期の看取りや、認知症の見守り体制など介護保険制度内での対応の難しさを発言しました。
人づくり、 経営など
歯科分野は経営の黒字化がすすんでいると報告。
医師問題については、青森や茨城、栃木、静岡などが発言。医局の高齢化が進む秋田は、研修医を定着させる模索について報告。また、小児の貧困事例を集約しようという呼びかけも。
北海道では、看護職が「健康権」の学習を開始。病気の背景を学んだ参加者から「民医連の方針は間違っていない」という感想が出ているそうです。
(矢作史考記者)
(民医連新聞 第1543号 2013年3月4日)