若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(13) ~ブラック企業と人間らしい働き方~ 文 山田真吾
最近ブラック企業という言葉をよく目にします。定義は「人を使い潰す。労働法を守らない」こと。「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」という映画もあり、どんな働き方なのか想像がつくと思います。
7月28日に「ブラック企業大賞2012」が開催され、首都圏青年ユニオンが交渉した企業2社がノミネートされました。生鮮食品を扱う24時間営業のコ ンビニエンスストア・SHOP99(現ローソンストア100)と牛丼すき家を経営する株式会社ゼンショーです。
SHOP99は、入社1年2カ月の店長が長時間労働の影響からうつ病と診断され、病気休職となり、労災認定されたケースです。高卒で8年間フリーターを していた元店長・清水文美さんは、ハローワークでSHOP99の正社員求人を見つけ、入社後半年で店長に昇格しました。
労働基準法第41条は、管理監督者の規定を「経営者と一体的な地位で出退勤を自分で決めることができ、その地位にふさわしい賃金を得ている人」としてい ます。清水さんは、店長になったことで管理監督者とされ、年俸300万円のほかは残業代が出なくなりました。しかし実態は、アルバイトの時給すら本部の指 示なく決められず、24時間営業なので出退勤も自由に決められない「名ばかり店長」でした。
相談に来た時は文字通りボロボロでした。持参したタイムカードを見ると1日20時間以上働いた日が4日も続き、毎月100時間の残業は当たり前、 2007年8月は1カ月で約340時間働いていました。厚労省の過労死ライン(1カ月の残業80時間)を超えています。労働時間を時給換算すると最低賃金 を下回っていました。
2011年5月に東京地裁立川支部は「清水さんの働き方は管理監督者に該当しない」として、残業代と慰謝料を払うよう会社に命じました。しかし清水さん は今も療養中です。「私は会社にガソリンのように使われた」「会社の歯車ならまだ形は残るが、ガソリンだと燃えカスしか残らない」と、清水さんは語ってい ます。
(民医連新聞 第1533号 2012年10月1日)
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