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民医連新聞

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地域から命守る共同行動を 全日本民医連 第1回評議員会ひらく

 全 日本民医連は八月二五~二六日、東京都内で第四〇期第一回評議員会を開き、二月の総会以降半年間の情勢の変化と各分野のとりくみを確認し、方針と中間決算 報告を全員一致で承認しました。評議員八四人(予備含む)と理事など約一五〇人が参加し、活発に討論しました。第四一期役員選挙管理委員七人を選出しまし た(別項)。

第41期役員選挙管理委員
宮本達也 (青森)
三村 功 (長野)
及川正彦 (東京)
久保田武 (愛知)
田中義夫 (奈良)
岩崎ゆう子(岡山)
堤 幸春 (福岡)

 藤末衛会長は冒頭、原発問題でも危険なオスプレイ配備問題でも社会保障と税の一体改革でも TPPでも、“国政と民意の異常なねじれ”が広がっていると指摘。「地域から命を守る共同行動を」と呼びかけました。貧困と格差に立ち向かう活動と医師養 成を一体でとりくもう、と強調しました。
 長瀬文雄事務局長が方針案について報告。かつてなく広範な人たちとの共同が広がり、民医連は積極的役割を果たしていると紹介。「あらゆる運動の架け橋となろう。私たちは決してあきらめない」と訴えました。

5つのテーマで討論

 二日間の討論では、(1)運動の課題、(2)運動を担う職員づくり、(3)核害に立ち向かう、(4)健康権を守るとりくみ、(5)経営、医療、介護、共同組織の課題のテーマで五〇本の発言、文書発言は八本でした。
▼運動の課題では、大阪の後みつる評議員が橋下市政について報告。がん検診や高齢者パスの有料化、市立病院廃止など暮らし切り捨ての市政改革プランが強行 された一方、プランへのパブコメは過去最高の約二万件でうち九割超が反対だったと紹介しました。脱原発で知事選をたたかった山口やオスプレイ配備に県ぐる みで反対する沖縄からも発言がありました。
▼職員づくりの課題で「健康権を学ぶことは自己責任論との対峙」と発言したのは、北海道の加地尋美評議員。札幌市内で唯一入院助産制度(経済的に苦しい妊 婦に費用を助成する制度)が利用できる札幌病院では二〇一〇年に出産した四二六人中、同制度利用者は一七三人(四〇・六%)。困難事例を多く抱える中、 「育てられないのになぜ産むのか」と職員に自己責任論が広がり、学習の必要性を痛感。学習会では、健診を実施した定時制高校で生徒の三分の一が生活保護世 帯、半数が片親で、男子は肥満、女子はやせが多く、アトピーや喘息、貧血が多数だったことを共有しました。その上で「なぜ貧しい人は不健康なのか」健康権 と健康の社会的決定要因について学び、職員から「不健康が社会と関わっていることを認識した」との感想が寄せられています。
▼核害に立ち向かう運動では、福島から避難した子どもの健診を実施した滋賀の東昌子評議員が、「健診が県内に点在する避難者のつながりの場ともなった。所 見もあるが小児科がなく、どう分析しフォローするか、対応の検討を」と発言。「健診対策委員会を設置した。脱原発とともにがんばりたい」(京都)、「総代 会で県内に避難中の双葉町長の話を聞いた。原発ゼロ委員会を作り一六五〇カ所で放射能を測定し、今後二〇年は続ける」(埼玉)などの報告が相次ぎました。
▼健康権を守るとりくみでは、六月に一〇〇〇人規模の水俣病検診を行った熊本の光永隆丸評議員が全国の支援に謝意を述べ、「一人の患者も残さず支援する」 と表明。東海地協で水俣病検診を実施した愛知の近藤知己評議員は、受診希望者が殺到し、九月以降も検診を行うと報告しました。
▼経営、医療、介護、共同組織の課題では、全国から医師支援を受けた群馬・利根中央病院や福島からも発言。北海道の鈴木和仁評議員は、病院のポジショニン グを見直し、地域から信頼され職員の意欲も向上した経験を紹介し、県連として中小病院プロジェクトを立ち上げたことを報告。鹿児島の税所孝樹評議員は、霧 島地域の救急医療が危機に瀕し、常勤医一二人の国分生協病院が地域の救急搬送の約半数の年間一〇〇〇件を受け入れており、「心肺停止でも病院到着まで一時 間かかる」実態を生々しく告発しました。
 長野の熊谷嘉隆評議員は、「医師の社会的使命として人権の観点で地域を見、政治を変えることを伝えなければ」と強調しました。
 堀口信副会長は閉会あいさつで、「記憶こそ民衆の最大の武器。それは再生することで生きる。会議で聞いた経験や教訓を仲間に語り広げよう」と結びました。

(民医連新聞 第1531号 2012年9月3日)