若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(9) ~首都圏美容師ユニオン(下)~ 文 山田真吾
首都圏美容師ユニオン結成後、多くの美容院・美容室と団体交渉をしました。共通するのが、残業代未払いと社会保険未加入という点です。美容師の場合は 「美容国保」という美容業界でつくる健康保険に加入するのですが、事業主が入れないケースが多々ありました。美容師専門の求人誌には「社会保険完備」「講 習費(前回書いた教育費のこと)は会社全額負担」という文句があり、裏を返せばこれらを満たしていない求人がそれだけあるということでしょう。
入社すぐのアシスタントは、毎日お客さんの髪の毛をシャンプーするため、薬剤と水の使いすぎで手の皮がボロボロに。これは誰しもが経験することだそうで す。自身の身長とシャンプー台の高さが合わず、腰を曲げた無理な姿勢で片手はお客さんの頭をささえ、もう一方の手でシャンプーを流し、腰痛になることも。 お客さんの予約時間に合わせて休憩時間を取るため、おにぎり1個を食べるのがやっと。
このようなアシスタント経験後、お客さんの髪を切るスタイリストという働き方になります。スタイリストに昇格したとしても、労働条件が劇的に改善するこ とはありません。今度はアシスタントたちの練習の指導があるため、結局遅くまで残って仕事をすることになります。
タイムカードがある店はまだマシで、労働時間管理をきちんと行っていないため、自分がどれだけ働いたかわからないこともあります。そのため、お客さんの予約表を元に残業代未払いを取り返したケースもあります。
専門学校を卒業し、初めて就いた仕事なのですから、「この業界ではこれが常識」などと言わずにきちんと労働法を教え、守るべきです。「お客さんにきれい な髪型になって店を出ていってもらうのだから、働き方の辛さを見せることはできない」と泣きながら話した組合員もいました。皆さんが行く美容院・美容室の 美容師はどうでしょうか。悩んでいる人がいたら、美容師のユニオンがあることを伝えてください。
(民医連新聞 第1529号 2012年8月6日)