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民医連新聞

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水俣病患者救え 申請期限直前まで各地でとりくみ

 水俣病特措法に基づく救済策の申請を、環境省は七月末で打ち切りました。「公式確認後五六年を経ても水俣病患者は放置されている。七月末で締め切って も、何も解決しない」。潜在患者の掘り起こしをしてきた民医連の医師たちは、申請期限の延長と救済策の拡大、国による住民健康調査を求めてきました。
 七月一八日には、長年水俣病を診察してきた藤野糺(ただし)・高岡滋両医師(熊本民医連)が上京。全日本民医連、全国保険医団体連合会、不知火患者会か ら一〇人が、環境省に「申請期限延長を」と要請。同省から四人が応対しました。
 高岡医師は、六月の大検診は一三九六人が受診し一二一三人(八七%)に水俣病の症状を確認したこと、六つの検診会場の結果から自覚症状・神経所見ともに 救済対象地域内と地域外でほぼ同様の有所見率だったこと、国が「患者はいない」とする一九六九年一二月以降に出生した人にも数多くの患者がいることが推察 できると報告しました。
 これまで未申請だった理由として「差別」(四六%)や「情報欠如」(四一%)を挙げた人が多くいたことに触れ、「差別を取り除く周知が行われたとは言えない」と指摘しました。
 そのうえで、全日本民医連の羽田範彦事務局次長が「七月末の締切では法がうたう『あたう限り』の救済はできないとのエビデンスを示している。環境省が締 切を変えないのなら、何をもって『あたう限り』の救済ができたと考えているのか」と迫りました。これに対し環境省側は「法に基づき大臣が決めたこと」と繰 り返すのみで、具体的な根拠は示しませんでした。
 不知火患者会は、梅雨明けの猛暑の中、申請期限延長を求め、国会や環境省前で九日間座り込みました。熊本民医連の田中直光さん(水俣市出身)は、「両親 は手帳を持っているが、親戚にチッソの社員がいるので、受診をためらう親戚もいる。差別・偏見を理解していない」と訴えました。
 関東、近畿、東海北陸の民医連の各地協では締切の迫った二二日に検診を実施。計一五六人が受診し、八~九割に水俣病の症状が確認されました。検診待ちが 全国で一〇〇〇人近くおり、秋にも検診を行う予定。それに先立ち、七月中に申請書だけでも提出することを案内しています。
 締切の三一日に会見した細野環境相は「申請が増えたのは周知広報の結果」と述べ、八月以降の対応については「改めて説明する」と明言を避けました。

(民医連新聞 第1529号 2012年8月6日)