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民医連新聞

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若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(8) ~首都圏美容師ユニオン(上)~ 文 山田真吾

 皆さんはどこで髪を切りますか? 私はもっぱら床屋ですが、美容院・美容室に行く人も多いでしょう。髪を切る人、シャンプーする人、店内を清掃する人、受付の人たちを見かけます。今回はそんな美容師の労働実態について。
 首都圏青年ユニオンに2007年、大手美容師チェーンAshで働く美容師の柳さん(男性)から長時間労働や労働災害などの相談がありました。Ashを経 営するアルテサロンホールディングスは経団連会員企業ですが、36協定未締結、給与から違法な天引き、休憩時間がまともに取れないなどの労働実態が明らか に。これを契機に首都圏美容師ユニオンを結成しました。
 美容師になるには、美容師専門学校などを出て、国家資格である美容師免許を取る必要があります。その免許を持って美容院・美容室に就職しますが、入社し てすぐは髪を切らせてもらえず、アシスタントと呼ばれる働き方をします。
 他の業種でもそうでしょうが、資格や免許が取れたからといってすぐに一人前ではなく、仕事に就きながら仕事を覚えていきます。いわゆる見習い期間のよう なものです。Ashではアシスタントは終業後に「練習」と呼ばれる作業を行っていました。街で「カットモデル募集」というチラシを見たり、営業終了後に灯 りがついている美容室でマネキンの髪を切っている光景を目にしたことはありませんか? これが「練習」と呼ばれるものですが、無給です。
 さらにAshは、この「練習」で使った店舗の水光熱費やシャンプー代を、協定書もなく給与から天引きしていました。「仕事に必要な知識や経験を積むため だから当たり前だろう」と思いますか? もしみなさんの事業所で医師や看護師に同じことがあったらどうしますか。
 この話をすると多くの人が、「それはおかしい」と言いますが、経営者のみならず美容師自身も「これはうちの業界では普通だ」と言います。世間ではおかし いことが業界では普通なのです。次号では闘いの内容を書いていきます。

(民医連新聞 第1528号 2012年7月16日)