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民医連新聞

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脱原発杉並はこうして立ち上がった 権力が恐れるのは有象無象(うぞうむぞう)だ!

 「原発NO」を表明し行動する人が目立つようになりました。“運動経験無し”という人がインターネット上の情報で合流しているこ とも特徴。その一つが東京都杉並区の「脱原発杉並」です。二月一九日に五〇〇〇人、五月六日に四〇〇〇人を集めるデモを決行。地域の企画としては破格の規 模、しかもユニークです。パパママ・子ども、DJカー、脱原発替え歌を熱唱するカラオケカーに続くのは整然とプラカードを掲げた集団、という具合。沿道の 住民たちからも声援が。賛同人には右から左、著名人から地元住民まで幅広く名を連ねます。自らを「有象無象(うぞうむぞう)」と名乗り、胸を張る彼ら。ス タッフの中村みずきさんに聞きました。

■全員が主催者

 リーダーなし、実行委員会参加者全員が主催者、それが「脱原発杉並」のやり方です。
 住民の私も「脱原発で何かやる」とだけ聞いて参加しました。集まったのは、超党派の区議たちから、ツイッターを見て来た若者、市民運動のベテランまで、 ほとんどが初対面でした。そして会議はとにかく決まらない。「デモがいい」「講演会」「フェスがいい」など提案が続々。「早く行動したい」と若者が発言す ると「寒い時期はキツい」とお年寄りが言う。一回目の会議で決まったのは「二月一九日に何かする」ことだけでした。
 でも、脱原発を願う人なら誰でも参加でき、好きなことが言えるオープンな運営にこだわったからこそ、みんなが主体的に関われたのだと思います。二回目の 実行委員会ではタイトルや内容、必要な準備を考えていきました。
 タイトルは「原発ゼロは共産党っぽい」「『さよなら』を入れたい」とか「マイルドに」など、様々出た中「脱原発杉並~副題は自由」で決定。副題は好きに つけようということに。フライヤー(ビラ)もタイトルと日時さえ入れば、何でもOKにしました。

■「全ジャンル」揃った!

 デモについては、子連れで安心して歩きたい、DJ、ダンス、阿波踊り。シュプレヒコールも 「イヤ」という人がいれば「それがないとイヤ」という人もいた。出るアイデアはどんどん採用。そして言いだした人がリーダーになる方式(笑)。こうして、 全ジャンル揃ったデモが作られていきました。
 参加者それぞれの特技も生きました。たとえば「子どもが飽きちゃうからデモにはお菓子コーナーが欲しい」とママが言うと「ウチで出そう」と、乾物屋さん が手を挙げる。「サウンド関係は俺が」と音楽関係者。呼びかけ文の起案はフリーライターがやる。ホームページを作る人、運営する人。デモ申請係を初めての 人が申し出ると「同行しましょう」と、白髪の方からアシストが入る。活動家たちもノウハウを生かして下支えしてくれた。地元にこんな人たちがいたのだと誇 らしかった。
 会議のたびに実行委員は増え、おもしろくなり、一二〇人に。会議はネット中継もしました。
 デモコースの沿道住民・店舗にお知らせも配りました。「地元に受け入れられる運動にしたい」と声が出たからです。その発想がデモ参加者の飲食や買い物に 特典がつく「デモ割」につながり、協賛店は続々出現しています。

 みんなの合言葉「有象無象」は、翻訳家の池田香代子さんの口から出たものです。池田さんは 杉並区民として実行委員会に出て「権力者が恐れるのは、誰がリーダーか分からない『有象無象』のとびきり楽しいうねりなんだ」とおっしゃった。何かの本に 書いてあることだそうですが、胸に響きました。
 野田首相が再稼働をすすめるいま、本当に原発を無くすために、もっとつながりたいです。五〇〇〇人がデモに来ても区民は五四万人です。いま何も考えてな い人なんて少ないはず。お隣の中野区で「脱原発中野も」ができたり、デモ割が各地に飛び火したり、嬉しいことも起こってきているんですよ。(聞き手 木下 直子記者)

こんご注目のアクション

◆さようなら原発10万人集会
7月16日13:00~
東京・代々木公園
主催:さようなら原発1000万人アクション

◆脱原発国会包囲
7月29日
 15:30:集会
 16:30:デモ出発
 19:00:国会包囲
集合場所:日比谷公園中幸門(日比谷公会堂裏)
主催:首都圏反原発連合

(民医連新聞 第1527号 2012年7月2日)

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