若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(6) ~高校生に労働法教育を~ 文 山田真吾
首都圏青年ユニオンには、公立・私立を問わず高校から労働者の権利や労働法に関する講演依頼がきます。高校生がアルバイトをする夏休み直前の7月上旬に呼ばれることが多いです。
定時制高校で、生徒から質問が出ました。「飲食店で働いていて仕事のあとに賄い飯が出るんだけど、食べなくても1食分400円が給料から引かれている。 俺の時給の半分なんだけど、なんとかならないかなぁ?」というものでした。
給与から天引き(控除)をする際は、労働者の過半数を組織する労働組合か、労働者の過半数を代表する者と労使協定を結ぶことが必要です。それがなければ 労基法違反です。仮に協定を結んでいても、食べていない食費まで控除してはいけません。そう話し、「納得できないことがあれば首都圏青年ユニオンまで相談 を。会社と交渉することができるよ」と伝えました。
私は高校で講演する時、必ず次の質問をします。「バイトをしている人は右手を挙げてください。では、そのバイト先の雇用契約書や労働契約書と言われる書 面を持っている人は左手を挙げてください」。結果は惨たんたるものです。
学校によっては生徒のアルバイトを許可制にしています。しかし学校側は、生徒が雇用契約書や労働契約書をもらっているかどうかまでは確認していません。 この質問に一番驚くのは生徒ではなく、担任の先生たちです。先生には「生徒がバイト先から契約書をもらうように指導してください」と言い、生徒には「先生 から契約書を提出するように言われた。もらえないと働けなくなります。だから契約書を出してださい。そう言ってください」と伝えます。それでも出さない雇 い主は危ないと思っていいかもしれません。アルバイトする高校生の子どもを持つ人は、先生のところを親に変えても有効です。
誰しもいつか働くことになります。しかし労働者の権利や労働法に関する教育や知識がないまま、高校生は働く経験をする。権利を知らずに働くのはとても危 険です。権利を知っていれば解決できたかもしれない事例は多く、労働法の教育を全国に広げる必要性を感じています。
(民医連新聞 第1526号 2012年6月18日)
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