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民医連新聞

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若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(4) ~社会保障から落ちる~ 文 山田真吾

  前回、違法の3点セットに触れました。そのひとつ、「社会保険・雇用保険の未加入」は深刻です。厚生年金に入れず、医療保険は保険料負担の重い国保加入で は、私傷病で仕事を休んでも傷病手当がもらえません。雇用保険に入っていないと、失業しても失業給付を受けられず、教育訓練給付制度も使えません。
 ひどいケースだと「保険料を払うと賃金が減ってしまう。キミの生活のためにも入らないほうがいい」などと公言する経営者まで! そう言われた労働者本人 も、少ない賃金がさらに減ると生活が厳しくなるのではと考え、自ら「社会保険から抜けたい」と言ってしまうことも珍しくありません。しかしこれは雇用主が 加入する義務のある保険で、2年前まで遡って加入させることもできます。「アルバイトだから入れない」と思っている人も多いのですが、労働実態を聞くと実 は加入要件を満たしていることがたくさんあります。
 社会保険に入っていても安心できません。IT系派遣で働いていた20代の男性は、「長時間労働で人が辞めていく。次々と人間関係が変わり、自分も過労で 心がすり減っていく」と、休職して傷病手当を受給することになりました。「傷病手当を使って身体を休めながら生活することになるけれど、この制度は賃金の 6割程度しか保障されない。生活は大丈夫?」と聞くと、「IT派遣は派遣先が見つかるまで自宅待機になり、その間は生活の保障はないんです」と話し、待機 中に生活のためにサラ金数社から借りた借金が100万円超にもなるとわかりました。傷病手当での返済は難しく、債務整理に詳しい弁護士に相談をつなぎまし た。
 それ以後、相談にあたるときは「手持ちの現金はいくらか、借金はどれくらいあるか。家はあるか、家賃は滞納していないか」という点も聞いています。労働 相談だけでは解決できない社会保障の不備が見えてきます。ほころびを広げず、編み直すことが必要です。

(民医連新聞 第1524号 2012年5月21日)