ゲルマニウム半導体核種分析装置 フランスから到着、稼働 “信頼できる放射能データ出せる”農民連食品分析センター
福島第一原発事故以降、食品への放射線の影響や安全性について、より正確で信頼に足る放射能のデータが求められています。これにこたえるため、農 民連食品分析センター(東京)に「ゲルマニウム半導体核種分析装置」が導入され、四月下旬から検査を開始しました。購入には多くの個人・団体からの募金が 当てられました。民医連も協力しています。
この装置の導入にはフランス労働総同盟(CGT)の協力がありました。原発事故以降、日本国内での機器の購入が困難になったことを聞き、原子炉開発企業 などで働く組合員の努力で装置を確保、海を渡って分析センターに届けられました。
四月二七日、CGTのブリュノー・ブランション氏(CGTエネルギー労組全国書記・アレバ社労組出身)とパスカル・ランボレーズ氏(同全国書記・国際担 当)が来日、分析センターを訪れ、装置の稼働状況や原発事故後の対応について懇談しました。
センターの八田純人所長は、「これまで国民が切実に求める放射能の測定・分析・公表が十分にできませんでした。消費者の募金で成り立つセンターとして役 目を果たせず、辛い思いをしましたが、国際連帯の力が勇気をくれました。この装置を大いに役立てたい」と謝意を伝えました。
ブランション氏は「事故後のデータを世界中が注目している。国から独立した民間の研究所としての調査・分析は非常に重要です」と話しました。原発をめ ぐっては「透明性」と「民主主義」が不可欠だとして、日本政府の対応は問題だと指摘。「組合員には研究者もいる。データをどう見るか、解釈なども含めて交 流したい」と話しました。八田所長は、「チェルノブイリとも違う、日本の食生活の中でどう暮らしていくのか、未来につながる知見を出したい」とこたえまし た。
両氏はこれまでセンターが行ってきた検査に強く興味を示し、土壌や海洋汚染の影響が懸念される山菜や海苔などのデータの説明を受けました。
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両氏は全日本民医連も訪問し、長瀬文雄事務局長と懇談。長瀬事務局長は、医療支援にとりくむと同時に原発ゼロをめざし、国と東電に責任を問う民医連のスタンスを紹介しました。
ブランション氏は、「事故の責任者である東電と国は危機管理ができておらず、被害を拡大させている。国や企業をコントロールする力は私たちの運動にある。チェルノブイリの事故以来、欧州が経験してきたことだ。皆さんは一人ではありません」と激励しました。
※食品分析は個人・団体でも依頼できます。
【農民連食品分析センター】〇三(三九五九)五六六〇
(民医連新聞 第1524号 2012年5月21日)