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民医連新聞

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あきらめない ほんとうの介護したいから 立ちあがったケアマネ・ヘルパー 石川

 4月から改定された介護報酬。ヘルパーの生活援助時間の短縮や、通所時間の変更など、利用者さんや職員・事業所への影響が気がか りです。現場からは改善を求める声があがっています。石川では改定内容に怒る民医連の介護職員たちが「よりよい介護をめざすケアマネジャーとヘルパーの 会」を結成しました。(木下直子記者)

 「会」は、石川民医連の「現場を知るヘルパーと、制度を知るケアマネが力を合わせよう」と両職種の責任者会議を中心に、今年二月に結成されました。
 「きっかけは一月末に判明した介護報酬の改定内容でした」と、介護相談センターふれあいの黒岡有子所長。改定範囲は訪問から施設まで幅広く、実質上のマ イナス改定でしたが、なんといってもスタッフの怒りが集中したのは「生活援助」の時間区分の変更でした。
 「生活援助」とは、掃除・洗濯・買い物・調理などの援助を指します。食事や入浴、排泄などを介助する「身体介護」と区別され、介護報酬も低く設定されて きました。その援助時間の基準ラインが、「限られた人材の効果的活用」や「効率的なサービス提供」の名目で従来の【六〇分】から【四五分】に短縮されたの です。

“社会保障の危機だ”と

 介護現場に迫られたのは、それまでの援助時間を維持して利用者の自己負担を増やすか、利用者の負担増を避けて援助内容を一五分ぶん切り詰めるか、の選択です。黒岡さんたちはどちらの選択肢にも納得できませんでした。
 「洗濯を一五分でやれという厚労省の考えもひどいですが…ヘルパーの仕事は本来、家事の代行ではないんです」と、黒岡さんとともに会の結成を呼びかけた ヘルパーの大川敦子さん(訪問介護STつくしんぼ所長)。「私たちの援助は利用者個々の生活に合わせて手助けし、反応を見ながら工夫して、生きる意欲や可 能性を引き出してゆくものです。そこが働きがいでもある」。
 黒岡さんは、今回の診療・介護報酬改定と「社会保障と税の一体改革」の内容を並べて見た時に、「権利としての社会保障が根底から変質させられる大変な改 定だ。黙っているわけにはいかない。いまこそ石川民医連でも立ち上がるべきだ」と決意しました。

みんなでがんばって

 取り戻したいのは、利用者さんが安心できる暮らしと、専門職の働きがいです。二月の大雪の日に三〇人で開いた「介護報酬改定 生活援助の時間短縮を許さない緊急集会」を皮切りに、三カ月足らずの間に街頭署名宣伝、国会への要請行動などにとりくみました。
 三月三日に金沢市内で行った街頭署名には五〇人が参加、大川さんもエプロン姿で訴えました。初めて署名集めをした仲間もいました。一時間で三〇〇筆を集 める反響があり、地元紙なども報じました。署名は、地域のケアマネ、ヘルパーの職能団体にも協力してもらっています。

 四月に入って。事業者側も改定による利用者への悪影響を抑える努力をしています。週二回の 掃除を一回減らす、調理は作業途中で終え、次に来るヘルパーに託すなど、時間を省く知恵を絞っていますが、影響はあります。「会話が減った」「ADL維持 に利用者にしてもらっていた作業ができなくなった」などの報告も。取材当日も「余裕がなさすぎる」と訴える電話が利用者から入っていました。
 それでも「あきらめないたたかいを全国にも広げたい」と黒岡さん。厚労省の言い方が「時間短縮は無理に行わないよう」と変わったことに、運動の影響を確 信しています。「民医連の総会方針にある『がんばって良かったと思えるたたかいをしよう』との呼びかけにも励まされているんです」。

(民医連新聞 第1524号 2012年5月21日)