副作用モニター情報〈370〉 ダビガドラン(プラザキサ)による消化器症状について
前号に続いてダビガドランです。今号は消化器症状の副作用についてです。全日本民医連副作用モニターにも1年間で13件(17症状)報告されてい ます。PPIやH2ブロッカーなどの併用で症状が回復した症例もありますが、ほとんどは自己中止、ワルファリンなど他剤への切り替えで症状が回復していま す。自己中止期間が長くなると、疾患の悪化も懸念されます。
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主な消化器症状として、嘔吐、胸やけ、胃痛、口渇、喉の違和感などが多く報告されています。ほとんどは服用開始1~数日で発症しているのが特徴です。胃腸障害予防のためPPIを併用していたのに服用数日後に発症した症例もあり、PPIの予防投与にも疑問が残ります。
消化器症状の副作用の原因に、製薬企業は添加物の酒石酸をあげています。酸性化で吸収率が高くなるので、粒子の中央が酒石酸核となる影響と言われていま すが、果たしてそれだけでしょうか。酒石酸自体は多くの薬に一般的に使用される添加物です。1日許容摂取量は30mg/kgで体重40kgの人でも許容摂 取量には達しません。酒石酸の影響とだけ考えるのには疑問が残ります。
カプセルが大きいことも問題です。75mgは2号カプセル、110mgカプセルが1号カプセルと大きくなっている点も消化器症状が出現する要因ではない でしょうか。喉の違和感・痛みの報告も複数件あります。発現機序は不明ですが、カプセルが食道等に付着し、そこで成分が溶け出してしまうことによる刺激感 も考えられます。主成分そのものに何らかの原因がある可能性も否定できません。
審査報告書のデータを見ると、胃腸障害の発現率が、ダビガドラン群34.5%に対し、ワルファリン群24.0%と、ワルファリン群のほうが低くなっています。
ダビガドランは「ワルファリンでは必要な血液検査によるモニターが不要」という利点が先行して宣伝されていますが、本剤による出血リスクを正確に評価で きる指標は確立されていません。この点からも高価で危険な薬剤といわざるをえません。本剤を処方する場合は投与の適否を慎重に判断してください。
(民医連新聞 第1522号 2012年4月16日)
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