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民医連新聞

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相談室日誌 連載346 末期患者さんの生活保護 申請に同行して― 森本克規(鳥取)

最近、生活保護申請に関する福祉事務所の対応が厳しくなっています。患者さんだけで行って申請できなかった、との話をよく聞きます。
 Aさんは六〇代肺腺がんのターミナル期の患者さんです。他院で抗ガン剤治療中で、一カ月の薬代が五万円だったため、高額療養費制度を活用し、医療費負担 軽減を行っていました。当院の緩和ケア外来に紹介され、この制度継続の相談に来られました。しかし話を聞くと、夫と二人暮らしで本人は無年金、収入は夫の 国民年金だけという状態で、最低生活基準を下回っていました。そこで、その日のうちに生活保護の申請に福祉事務所に同行しました。
 実はAさん、半年前にも長女と生活保護の申請に行き、その時はスムーズに申請できたものの後日、福祉事務所の担当者が自宅にやって来た時の対応に、夫が パニックになり、生活保護を辞退したという経緯がありました。
 今回は夫の意思も確認した上での申請でしたが、福祉事務所は年金証書や預金通帳の提示や夫の同席を求めてきました。前回の申請時に収入状況を掌握してい たにも関わらず、その日の申請は受け付けないという対応でした。
 SWから、本人が何度も足を運べるような体調でないことを補足し、夫の意思確認は電話で行うよう提案し、本日受理してほしいと交渉しました。結果、申請 はその日受理されました。 いまは生活保護が決定し、定期通院中です。Aさんは「対応が厳しくなった。SWがいてくれて助かった」と語ります。
 先輩SWからは「生活保護申請に同行すること」と指導はされてきましたが、この経験でその必要性を実感しました。
 それにしても、年金証書や通帳、車検証等の資料といった書類を添付しなければ申請書すら出さないという最近の窓口の対応に疑問を感じます。SWが同行す ることで、生活保護は本来、申請書さえあれば、申請できるものだと窓口職員に指摘することができます。困窮している人を速やかに救うよう働きかけ、患者さ んの生存権を守ることにつなげたいと思います。

(民医連新聞 第1522号 2012年4月16日)