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民医連新聞

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相談室日誌 連載345 “寄り添う援助”とは? 障害の受容に悩む患者 奥苑剛啓(福岡)

 Aさんは当院の心療内科に通院している五〇代の女性です。二〇一〇年秋に、母親を亡くした喪失体験から、うつ病を発症し、友人にすすめられて昨年一月に当院を受診しました。
 Aさんの病状は重度で、助けなしでは生活を営めなくなっていました。そこで主治医から障害者自立支援サービスの導入で、相談が入りました。
 初回の面接では、自分が一人っ子のため、両親が他界して精神的不安があることや、発症を契機に退職したため、経済的不安を強く訴えられていました。依頼 された障害者自立支援サービス導入のために、精神障害者保健福祉手帳の申請準備にとりかかると同時に、経済的不安を軽減するため自立支援医療(精神通院医 療)の申請を行うことにしました。
 また、傷病手当や雇用保険受給の可能性が残されていないか確認しましたが、傷病手当は受給要件を満たさず、雇用保険は受給資格を喪失していると判明。将 来的には、障害年金や生活保護での生活を検討する事にしました。
 手帳を取得した後、障害者自立支援サービス導入や障害年金申請のことで何度も面接をしましたが、Aさんの体調不良もあり、手続きはなかなかすすみません でした。一カ月程過ぎたある日、Aさんは「病気を治すためにも手続きが必要な事は分かっているが、手帳をもらった事で自分が障害者になってしまったのかと いう気持ちと、税金を使って生きていくという事が申し訳なくて」と打ち明けました。
 これを聞いた時に、Aさん自身が病気を受容できていない事に気付かされると同時に、SWとして私が患者様の思いに寄りそう視点が未熟だったと痛感しまし た。また社会保障制度が、それを必要とする人にとってどれほど縁遠く、手続きも複雑かと再認識しました。
 言葉に表わされる問題点だけではなく、なにげない態度や生活の中に現れる現状を捉える事の重要さを改めて考えさせられた事例でした。Aさんとの付き合い は今後も続きますが「患者様の思いに寄り添って支援を行う事」を強く意識して支援を続けていきたいと思います。

(民医連新聞 第1521号 2012年4月2日)