第40回定期総会を前に おしえて 方針案ポイントは 長瀬事務局長に聞く
全日本民医連は二月二三~二五日に第四〇回定期総会を岡山県で開催します。総会にあたって、全日本民医連理事会から「運動方針 案」が提案されました。民医連の「総会」ってナンですか? そして方針案のイチバンのポイントは? 長瀬文雄事務局長に、総会初体験の矢作史考記者が聞き ました。
■総会について
全日本民医連は二年に一度総会を行い、「運動方針」を決定し、その方針を実践するために全国の役員を選出することになっています。
この運動方針というのは、組織の目的を掲げている「民医連綱領」を実現するために、今の時代や情勢に即して具体化したものです。民医連綱領を「絵に描い た餅」にしておくのではなく、運動の方向性を定め、それぞれの県連や事業所で何をすべきか、を提起しています。これを、七万三〇〇〇人余の全国の民医連職 員と共有し、いっしょに運動をすすめていくために、一人一人に方針案を配り、学習しようと呼びかけています。
今度の第四〇回総会は、前回の三九回総会で半世紀ぶりに改定した新しい民医連綱領の実践を振り返る機会でもあります。六万字近い議案ですが、その中でも 強調したいのは「運動を幅広い共同ですすめること」と「職員育成」の二点です。
■「幅広い共同」
今、日本社会は被災地復興や原発、TPPなど、生活や暮らしを守る問題で大きな転換期を迎えているといっていいでしょう。
こうした情勢を背景に、別項のような総会スローガンを提案しました。真ん中の一本は「原発ゼロ、TPP不参加、社会保障・税の一体改革阻止、米軍基地再 編阻止など日本の将来を決める運動の『架け橋』となろう」という文章はこの二年間の全日本民医連の実践を意識して掲げています。TPP問題ではJA全中、 震災の医師支援などでは日本医師会などといっしょに、「命をまもる」という一致点で、運動をすすめてきました。
これから先の運動でも、さらに様々な層の人たちと「架け橋」を作り、このせめぎ合いの時代を共同していくことが大切だと考えています。
■民医連の財産は「人」
もう一つの課題は、職員育成です。いま、民医連全体で三五歳以下の職員が半数を占めようになっています。民医連運動を継続するためにも、職員育成は待ったなしの課題です。
この間、全国に呼びかけてすすめてきた無料低額診療や、辺野古支援・連帯行動などは、経営的には、直接利益を生み出すものではありません。しかし職員が これらのとりくみを通して、医療費が払えない患者さんを間近にし、困っている人に寄り添おうとすることで、豊かな人権意識を持った人へと成長していただき たいと考えています。
実際それらは東日本大震災の支援活動でも大きく力を発揮しました。普段から、医師や看護師が足りない事業所からも、被災地を「わが身、わが事」と受け止め、全国からたくさん支援に入りました。
こういう時の行動は急に思い立ってできることではありません。「無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす」と掲げた民医連綱領があり、「人権を守りた い」という、職員たちの思いがあったからこそできたのです。民医連の財産は「人」そのものです。
また、「人を守る」ということは、事業所の経営を守ることにもつながります。「民医連の事業所が存在すること自体が、その地域の役に立っている」という ことに気づけば、職員一人ひとりが事業所について深く考えるようになります。
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これらのポイントを踏まえ、今回の総会方針を読み、地域の患者さんを取りまく情勢をよく学んでほしいと思います。職員全員が読了し、真実を見抜く力をつけ、今後の運動に活かしてほしいと思います。
第40回総会スローガン(案)
○住民本位の震災復興、平和と権利としての社会保障を実現する新しい福祉国家への展望を創りだそう
○原発ゼロ、TPP不参加、社会保障・税の一体改革阻止、米軍基地再編阻止など日本の将来を決める運動の「架け橋」となろう
○健康権の実現めざした保健・医療・介護の実践と医師をはじめとする担い手づくりを一体に追求しよう
(民医連新聞 第1517号 2012年2月6日)