かあさんの「ほのか」な幸せ~眠りっこ子育てetc.~ (15)「栗毛は、いのちの繋がりの証」の巻 文:西村理佐
新年、普段なかなか会えない家族が一堂に会するひとときは、あたたかい陽だまりのような時間だ。去年はまだ歩けなかった2歳になる帆花のいとこちゃん も、今年ははっきりと「ほのかおねえちゃん」と呼んでくれた。久しぶりに会うと、子どもの成長というものには本当に驚かされる。今まさに帆花やいとこちゃ んが歩いている道を、自分たちも通って大人になってきたはずなのだが、あらためて1人の人間が健やかに育っていくということの素晴らしさと、子育てという ものの大変さを実感した。いのちが繋がって新しい家族が増えていくことで、いろいろな思いがし、父や母への感謝も溢れる。
昨年から、帆花は抜け毛がひどかった。豊かで艶やかな自慢の髪が日に日にごっそりと抜けていくさまは、心が締め付けられるようでとても辛かった。原因は わからない。とうさんは「つるつるになってもカワイイよ」なんて笑ったが、女の子にとっては冗談にもならない辛いこと。
そんなこともあり、生まれてから一度も切ったことのなかった長い髪を初めて切った。子どもらしいおかっぱは溌(はつ)剌(らつ)として、気分も変わっ た。短くなって髪先まで栄養も行き渡るようになるだろう。本人も軽やかになった頭が嬉しいらしい。そうだ、これまで愛用してきたプラスチックの櫛ではな く、髪に優しいブラシを買ってやろう、と思いつつ年を越してしまった。
ところが新年、家族が集まった際に、かあさんが買おうと思ってめぼしをつけていた店の、まさにそのブラシを、実家の母が帆花とかあさんにプレゼントして くれた。どうやら姉といとこちゃんもお揃いらしい。事情を何も話していないのに、そのブラシを母から手渡されたときには、驚きとともに、「母親」というも ののフシギな力を思い知った。母娘3代に渡って受け継がれた栗毛は、いのちの繋がりの、大切な証。毎日、家族を思いながら、帆花と2人、大切にブラッシン グしていこう。
(民医連新聞 第1516号 2012年1月23日)
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