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民医連新聞

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「政策提言仕分け」の問題について― 長瀬文雄事務局長に聞く 憲法抜き、財政優先で語られた社会保障

 政府の行政刷新会議が11月20~23日に「提言型政策仕分け」を初めて行いました。「主要な歳出分野」を対象に「政策的・制度 的な問題にまで掘り下げた」検討をし「改革を進めるに当たっての検討の視点や方向性を整理する」というもので、従来の仕分けで踏み込まなかった分野も対象 にしました。社会保障もその一つ。問題点を長瀬文雄全日本民医連事務局長にききました。(木下直子記者)

 「仕分け」はわかりにくい税金の使い道を「見える化」する手法としてはユニークですが、その目線がどこにあるか、が問題です。
 今回の提言型政策仕分けではエネルギーや公共事業など、一〇分野が対象にされましたが、社会保障や教育といった対象にすべきでない分野が入りました。
 そして、提示された論点や方向性が非常に誘導的です。社会保障分野で対象になった七項目(別項)をみても、新成長戦略や「一体改革」の枠内で、それ以上の視点からは議論できなくなっています。どんな話し合いをしても、行き着く答えは同じ。最初の設定が、いのちと暮らしを守るものになっておらず、財政削減の論理でしかありません。
 象徴的なのが生活保護に関する議論です。「生活保護費が増加している原因は医療扶助」とし、“適正化”を強調しました。そして具体的な対策に盛り込んだ のが、受診時に一部負担を導入することでした。最低生活の国民に新たな負担をさせよという提言には、憲法の視点はありません。
 これらの主張は、公務員や生活保護世帯へのバッシング、若い人は高齢者の犠牲者だ、などという世代間対立、国民を分断する世論誘導をしています。それが 国民にウケるのです。ここで議論されたことは、政策化され、国民の反応を見ながら国会に出されるとみていいでしょう。

仕分けるべきは

 日本のGDPは一九九〇年の四五二兆円から二〇一〇年は四七九兆円にアップしました。とこ ろが税収は四九兆円から三一兆円に大幅に減りました。この間、消費税率も上げているのに。GDPとパラレルであるはずの税収が増えないのは、大企業や金持 ちに行われた減税のためです。財政難というなら、手をつけるべき「本丸」があるのに、そこには手つかずなのです。
 リーマンショック以降、国民の困難は進行し、さらに震災からの復興という課題もあります。国民の立場からの提言が必要です。民医連でも「医療・介護再生 プラン」(〇八年発表)のバージョンアップを目指しつつ、具体的な事実をもって運動を広げていこうと考えています。
※仕分け資料や論点、方向性は閲覧できます。http://sasshin.go.jp/


社会保障分野で仕分け対象になった項目…医療の機能強化と効率化・重点化/後発品の使用促進など薬の有効な使用策/介護サービスの機能強化と効率化・重点化/年金制度/生活保護の見直し/雇用/社会保障

(民医連新聞 第1514号 2011年12月19日)