かあさんの「ほのか」な幸せ~眠りっこ子育てetc.~ (13)「おうちの子」、入院するの巻 文:西村理佐
帆花が左肺痰詰まりで12日間入院した。入院中、治療と予防のために最も大切と思われる「排痰&吸引」のケアをはじめ、ほとんどのケアをほぼ毎日、朝から晩までかあさんが行った。
親が入院中の娘に付き添うのは当たり前のことだが、頻繁に詰まり気味になる痰と無我夢中で格闘していると、「お母さんお手伝いしますか」と言って看護師 が来たりする。「お母さんのお手伝い」という言葉には違和感を持った。
たしかに、年1、2回しか入院しない帆花のただでさえ難しいケアを、決められた時間通りに病院で行うことは非常に難しいことだろう。が、痰詰まりで入院 している以上、少なくとも「排痰&吸引」は、治療の一環ではないのだろうか? ケア全般について、かあさんが書き記した「サポートブック」を持参してはい るが、帆花を支えてくれる大切なチームのメンバーである病院のスタッフに、文章だけではなかなか伝えきれないこともあり、母親として非常に不甲斐ない。し かし、たとえば目の前で、今まさに痰が詰まりかけている帆花を待たせて看護師さんを呼び、痰の取り方なんかを悠長に説明するなど、とてもしていられないの が実際だ。
入院中、「ほのちゃんのことを一番理解して、なんでもできるのはお母さん」という言葉をよく聞かされた。そのたびに、その文脈に疑問をもった。「かあさ んがイチバン」には明確に区別されなければならない2つの意味がある。ひとつは、どの家庭にも見られる母子の特別な関係における育児的な意味合い、もうひ とつは主たる看護・介護者としての立場での意味合いだ。
入院中、主治医が舵取りし、後者の役割を看護師が担うという「当たり前」がうまく機能しないのは、「おうちの子」となった帆花のケアの難しさと、おうち での生活と病院でのそれとの連続性がないことに原因があるのだろう。ケアだけではない。声にならない声で必死に訴えている帆花の主張を今後どのように病院 に伝えていくか、課題が山積みだ。
(民医連新聞 第1513号 2011年12月5日)
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