“描こう 診療所の未来図” 全日本民医連 診療所長交流集会
冒頭、診療所委員会委員長の皆木真一さん(全日本民医連副会長)が(1)地域要求に応えるポジショニングの議論(2)後継者養成(3)プライマリ・ケア 連合学会など各種学会で情報発信(4)グループプラクティスの実践(5)同一法人内、県連内所長の交流を呼びかけました。
藤末衛会長は記念講演で「社会保障・税一体改革をはじめトータルな社会保障改悪の動きに対し、トータルで健康権をつくる運動が必要」と強調。三〇年前は 診療所一カ所で外来、在宅、介護、ボランティアを担っていたが、機能分化した現在は所長、事務長、看護師長のみといった少人数の運営が多く、こうした運動 の展開が困難になっている、と指摘しました。
柳筋診療所(兵庫)が診療所建て替えに際し、デイサービス、地域交流館、高齢者住宅など複合的なサービス提供施設に生まれ変わる事例を紹介。診療所の近 未来図として「住み続けられる街づくりの拠点に」と提案しました。
続いて行われたシンポで、津波で大きな被害を受けた松島海岸診療所(宮城)の山崎武彦所長が、復旧の経緯や地域支援活動を報告。膳所(ぜぜ)診療所(滋 賀)の東昌子所長が、一人医師体制と複数医師体制の違いを発表しました。
報告後は研修医の受け入れ体制や複数医師体制を議論。「研修医はいつ途切れるかわからないので、診療単位が増やせない」「民医連らしい医療には、複数医 師体制が必要。ただ、経営的に厳しいので、二つの診療所に三人の医師配置など工夫を」「病院で子育て中の女性医師が、診療所で活躍できるのではないか」な どの意見がありました。
二日目は「楽しく医学生・研修医を受け入れよう~後継者養成」「診療所でできる医療知識のアップデート~インターネット活用術」「コモン・ディジーズ大ざらい」「在宅医療の交流」の四分科会が行われました。
そのうち後継者養成の分科会では、江差診療所(北海道)の大城忠所長が、研修医に意識的に困難事例や気になる患者を担当させた経験を報告。がん末期に在 宅医療を希望した患者を任せたところ、一日七回の呼び出しにも応え、亡くなる前日に患者本人から感謝の言葉があった、と話しました。
王子生協病院(東京)家庭医後期研修二年目の神田美穂さんは、今年四月から半年間の汐入診療所での研修について報告。一般外来や往診に加え、機関紙の原 稿を書いたり、汐入地区の地域診断を行った経験を語りました。
また、子育て中などの女性医師の復帰を支援しようと、同院が始めた家庭医後期研修プログラム「カトレア」を紹介しました。
(民医連新聞 第1513号 2011年12月5日)