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民医連新聞

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かあさんの「ほのか」な幸せ~眠りっこ子育てetc.~ (11)「発信」すること、それは「生きること」の巻 文:西村理佐

 帆花は10月17日で4歳になった。「感無量」である。帆花が「死ぬ思い」で生まれてきてくれたあの日には、4年後にこんな風にたくさんの人たちに見守られながらおうちで家族揃って楽しく生活しているとは、想像できなかった。
 この4年間の暮らしの中で、かあさんにとっては「書くこと」がとても大きな支えとなっていた。お腹から出てきた我が子が突然動かなくなってしまったとい う事実を受け止められずにいたかあさんだったが、NICUの受け持ち看護師さんが作ってくれた帆花の成長記録のノートは、いつしかかあさんの心の中を吐露 する日記帳となっていった。退院してまもなくの間は、帆花の体調の変化、悪化したときの対応策などを書きとめることで精一杯になっていた。在宅生活半年が 過ぎた頃、思いつきでブログを始めたことで、あらためて「書くこと」の力を思い知った。難しい体調のコントロール、万年寝不足、一歩も外へ出られないスト レス、誰とも話すことのない生活、「社会」との断絶…。
 「ひとりぼっち感」は「書く」という作業によって、そのような生活でやさぐれることはあっても、帆花との日々は自分が選んで手に入れたどれほど愛しく幸 せな日常であるか、という気持ちに気付かせてくれた。そのうちに、制度の壁や「いのち」に対する考え方の問題などにぶちあたり、心を整える作業であった 「書く」ことが「発信」することへと変わっていった。
 そうしていくうちに、この狭い部屋から「発信」する、一見繰り返しの日常は、「特殊な子育て」のことでもなく、「難しい制度の話」でもなく、もっと普遍 的な何か、つまり「生きること」そのものなのだと感じるようになっていった。帆花のいのち、自分のいのち、みんなのいのち……。そのいのちが確かに存在し て、繋がりながら生きているということを感じたくて、それがエナジーとなり、帆花とかあさんの「発信」は、続いていく。

(民医連新聞 第1511号 2011年11月7日)

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