第10回臨床研修交流集会 医師養成の経験語り合い 民医連・医療福祉 生協連
一〇月七~八日、第一〇回臨床研修交流集会が開かれ(民医連・医療福祉生協連共催)、医師や研修担当事務など三五七人が参加しました。(安丸雄介・医師部)
ジェネラルマインドとは
記念講演には名古屋大学医学部総合診療部講師の鈴木富雄医師を招きました。「臨床研修と ジェネラルマインド」と題し鈴木医師は「ジェネラルマインドとは臓器別ではなく患者さんの全身と全ての問題に正面から向きあい、心理社会的背景を捉える姿 勢。その育成には多職種カンファ、振り返る習慣などが重要」と語りました。
ワークショップは九テーマで。「ドクターG」を模した症例検討など多彩に行いました。また今回初めて医学対・研修担当事務対象企画も行いました。
多彩なとりくみ発表
ポスターセッションは家庭医、離島研修、新研修プログラム、被災地支援などの内容で六三演題。次のような報告が注目され全体にも紹介されました。
「研修医が二年間友の会の班会に継続して参加し、研修医も地域も意識が変化」(石川・城北病院)。
「民医連外での専門研修からの帰任経験から、病院全体の底上げの意味で民医連外の専門研修も必要。『勝手に育つ研修』から『病院全体で育てる研修』へ。 本気で向き合う仲間がいると気づけば医師は戻ってくる」(神奈川・川崎協同病院、吉田絵里子医師「出戻りのススメ」)
「全国で活躍する民医連出身者は多いのに、医学生は根拠のないネットの情報で研修をためらう。研修先選びで民医連には『風評被害』がある。日本医療機能 評価機構を受審し、風評へのカウンター情報として受審評価を発信しよう」(川崎協同病院、和田浄史医師「なぜ民医連の初期研修がウザがられるのか」)
地域密着型研修の優点
「地域密着型研修の優点と意義を見つめ直そう」と題したシンポでは、日本医療機能評価機構理事長の岩崎榮医師を交え、小病院での臨床研修の意義を議論。
岩崎理事長は「臨床研修病院の設置基準三〇〇床以上・年間新入院三〇〇〇件以上とする見直し基準は、根拠がない。むしろ小病院の研修が地域医療に役立つ医師養成に良い」と発言。
上戸町病院(長崎)の領家由希医師が、初期研修修了者の立場から「当院は新入院三〇〇〇件に及ばないが、患者との距離が近く病院への信頼も厚い。『地域に根ざし、集団で育つ研修』をアピールしましょう」と報告しました。
指導医の立場からは宮崎生協病院の高田慎吾医師が、「中小病院だからこそ、アットホームで細やかな研修を受けられる」と中小病院の研修の優位性を報告。
城北病院(石川)の高村昭輝医師は、医学教育研究をもとに「共同組織活動にあたるヘルスメンテナンスの健康予防活動が世界的に重視され、臨床教育では地域医療が注目される流れ。民医連は先端にいる」と報告しました。
(民医連新聞 第1511号 2011年11月7日)