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民医連新聞

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「介護現場の声きいて」 改善策も提案し、行政動かす 川口社保協が市と懇談 民医連外事業所もまきこんで 埼玉

 秋は来年度予算に向けた自治体交渉の季節。今年は特に介護保険法改定を受け、来年4月から始まる第5期介護保険事業計画に介護事 業所や利用者の声を反映させることが大切です。埼玉協同病院(埼玉県川口市)などが加盟する川口市社会保障推進協議会は、市との懇談会で利用者本位の制度 を要望するとともに改善提案を行い、高齢者福祉や介護政策の充実をすすめています。民医連以外の介護事業所も出席、参加者の3分の1を占めました。(新井 健治記者)

 九月一三日、川口社保協が川口市と「高齢者にやさしいまちづくり」懇談会を開き、二六団体 四六人が参加、民医連外の介護事業所も一一団体一六人が駆けつけました。高齢者にテーマを絞った懇談会は今年三月に続いて二回目。同社保協は事前に市民や 介護職員のアンケートも実施し、一八項目の要望を決定。あらかじめ市に要望書()を提出し、文書で回答を受けてから懇談に臨みました。
 改定介護保険法に新たに盛り込まれた「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)は、市町村が軽度者の介護サービスを介護保険から外すかどうかを決 めることになっており、利用者への影響が心配されます。川口市からは「デイサービスやヘルパー利用ができなくなることがないように計画を策定したい」と利 用者本位の回答を得ることができました。
 現場から切実な声も。市内の特養待機者は七九〇人、療養病床の待機患者は二五〇人います。埼玉協同病院相談室の田原環見(めぐみ)さんは、急性期の治療 が終わっても、在宅医療の体制が整っていなかったり、療養病床がないため、多くの患者が退院後の行き先に困っている実態を報告。「地元で療養できる施設の 整備や在宅医療の充実を」と訴えました。市は第五期介護保険事業計画で新たな特養と老人保健施設の建設を約束しました。

主治医意見書で成果

 今回の懇談で大きな前進があったのが主治医意見書(意見書)です。要介護認定に欠かせない意見書ですが、川口市は「利用者が主治医に依頼し入手する方が意思疎通が図れる」と利用者任せで、結果として認定が大幅に遅れる事態が生じていました。
 川口社保協は事前に厚生労働省に質問書を提出し、「意見書は市町村から主治医に提出を求めるのが原則」との回答を得ていました。懇談の席で厚労省の回答 も示しながら、「利用者や家族の負担を減らし、認定をスムーズにしてほしい」と求めた結果、市の態度が軟化。懇談後、一〇月三日から認定申請書類の中に意 見書返信用封筒を同封することになりました。市が意見書を直接回収するまでには至っていませんが、大きな前進です。
 このほか、保険料の改定では低所得者に配慮する、地域包括支援センター職員の増員を検討する、紙おむつは複数業者の選択制を検討するなど、前向きの回答が多くありました。
 川口社保協は意見書以外でも徘徊高齢者等探索サービスの料金体系を調査したり、県内他市の介護予防事業を紹介するなど、アイデアを提供しています。同社 保協の熊倉正明事務局長(埼玉協同病院組合員活動課)は、「行政に一方的に要望するのではなく、私たち自身もまちづくりの構想をもつことが大切。そのため の学習も欠かせない」と話します。

ケアマネ懇談会のつながり

 今回の懇談には、民医連外の事業所が数多く参加しました。老人保健施設みぬま、埼玉協同病 院、ケアセンターきょうどうが地域の事業所に呼びかけ、六年間継続している「ケアマネ懇談会」のつながりです。年に三~四回、学習会や事例検討会を開催。 同懇談会に参加している川口市内の事業所に市との懇談会を知らせ、参加を働きかけました。
 民医連外の介護事業所からは「市の考えを直接聞くことができる場があることに驚いた」「行政に意見を言えるなんて、びっくり」「介護保険の問題点がわかって、勉強になった」との声が。
 熊倉さんは「民医連以外の事業所では、介護現場で矛盾を感じても現状の中で働くしかない、とあきらめている人も多い。たとえ小さなことでも、懇談を通し て具体的に改善できる姿を示すことが、介護改善運動を広げてゆくことになります」と語りました。

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(民医連新聞 第1511号 2011年11月7日)