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民医連新聞

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相談室日誌 連載334 できることを大切に 一人暮らしを見守る 堂本祐三子(山口)

 「患者さんが住み慣れた場所で、自分のペースで生活すること」を大切にしながらPSWとして支援を行っています。
 Aさんは妄想性障害で、精神科に通院しながら市営住宅に独居中の八〇代女性です。
 以前は親戚や近所の付き合いがうまくできず困っていましたが、通院し、服薬するようになってから目立ったトラブルは減ってきました。それでも「隣の人が 家に入って障子を破った」「お金を盗まれた」など警察へ訴えることも。
 高齢で心疾患もあるため市の保健師とも相談し、介護サービスの利用をすすめましたが、被害妄想があるため拒否。施設入所も難しそうです。
 しかしAさんの自宅は片付いていて、買い物や調理も自立。重いものを買うときなどは、タクシーの運転手さんに三階まで運んでもらうなどの工夫をしながら 生活しています。また妄想があるため、自宅のお風呂には入れませんが、受診前日には体をきれいにしようと、近くの温泉にも足を運びます。私たちの毎月の自 宅訪問は歓迎してくれていて、役所の手続きや、ゴミ出し、冷蔵庫が壊れたなど困ったことは相談しながら生活しています。
 今は少しの援助で生活できているのでこのまま見守っていく方針です。
 もうひとつの事例は、当院の内科に受診しているBさん、八〇代女性で認知症があります。内科の看護師からはBさんが服薬管理や定期受診もままならず、理 解力も低下していると報告が。以前は知的障害がある息子さんの世話をしながら同居していましたが、支えられなくなり、息子さんは施設に入所、現在Bさんは ひとり暮らしに。ほかのスタッフからは、Bさんも施設に入所したほうがいいのでは? という意見が出ていました。しかし、訪問すると、味噌汁やアジの南蛮 漬けを作っているなど、八〇代とは思えないほど元気な側面もあります。施設に入所すると、今自分でできている事もできなくなってしまう恐れがあります。
 見守りの目が少ない事例に対し、その人の持っている力を失わないよう行政や地域と協力しながら支える体制作りを進めたいと思います。

(民医連新聞 第1507号 2011年9月5日)