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民医連新聞

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反貧困、チーム医療、高齢者、がん 民医連らしい慢患医療すすめよう 全日本民医連第39期慢性疾患医療交流集会ひらく

 七月三〇~三一日、都内で全日本民医連第三九期慢性疾患医療交流集会が行われました。各事業所で外来診療に関わる職員を中心に四 〇県連、三一八人が参加しました。三八期以降のとりくみの前進と課題を明らかにし、慢性疾患医療活動の実践をすすめる契機とすることが目的。概要を紹介し ます。(安丸雄介記者)

 はじめに松本久医師(全日本民医連・学術委員会委員長)が、今後の慢性疾患医療の前進に向 けて問題提起しました。(1)外来医療活動の基本的な三つの視点(貧困・格差に立ち向かう、チームの連携・力量向上、ソーシャル・キャピタルの重視)に 沿った慢性疾患医療の強化、(2)高齢者の慢性疾患医療を軸にしたとりくみ、(3)がん医療を慢性疾患としてとらえ「民医連らしい地域緩和ケア」のあり方 の探求、(4)以上の課題を推進するために「総合的な主治医機能」の提案、(5)慢性疾患医療におけるリハビリ機能の重視と展開、の五点です。
 シンポジウムでは近藤尚己医師(山梨大学大学院社会医学講座講師)が「格差時代の慢性疾患ケアを考える」と題して基調講演をし(写真右)、四人の職員がこの間の慢性疾患医療の実践を報告。
 近藤医師は「社会経済格差は高所得者も含めすべての人の健康を蝕みながら、健康格差も広げていく」。予防医学の戦略手法として、「ハイリスク・アプロー チ(ハイリスクの人を対象にリスクを減らすように介入する手法)では慢患指導は困難であり、安易な指導は患者さんの信頼を失う。また、男性の半数がメタボ リック症候群という中で、少人数しか対応できないハイリスク・アプローチには無理がある」と指摘。「生活環境などに働きかけ、集団全体のリスクを減らすポ ピュレーション・アプローチなしに、健康格差の問題は解決しない」と強調しました。
 また一日目は東日本大震災について、沖本久志医師(坂総合病院)と治田幸子看護師(医療生協わたり病院)から特別報告がありました。沖本医師は「震災時 の診療で最も困ったのは、内服薬や治療内容が不明だったこと。患者さんに製剤見本を見せて注射回数や服薬法から薬を類推した。薬手帳の常備が重要で、患者 さんに呼びかけを」と強調。「インスリン針は繰り返し使用可能で、一体型注入器が持ち運びにも有用だった」など、実践的な内容報告でした。
 二日目は各分科会で(1)慢性疾患としてのがん医療の課題、(2)慢性疾患におけるチーム医療、(3)慢性疾患医療の質の向上、(4)民医連の慢性疾患 医療の実践における家庭医総合医と専門医の役割、(5)慢性疾患患者の生活を支えるリハビリテーションのあり方、の五分科会が開かれました。

(民医連新聞 第1506号 2011年8月15日)