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民医連新聞

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小松基地騒音訴訟ささえて・石川民医連 平和に生きる権利 守るのも、民医連の仕事 基地騒音地域で健康調査

 全国にある軍事基地。周辺の騒音は深刻です。石川県にある航空自衛隊小松基地周辺でも戦闘機の騒音に悩まされる住民たちが、訴訟 を起こしたたかってきました。このたたかいの拠点が同じく騒音地域にある民医連の寺井病院です。医療の専門家としてこの裁判をささえ、基地による健康被害 の実態を立証。現在、第5~6次訴訟のための住民健康調査にとりくんでいます。(矢作史考記者)

 七月二日午前、寺井病院に職員や友の会の会員六人が集まり、基地騒音についての健康調査票 の回収にまわりました。調査票は、六月二五日に全戸配布したもの。石川民医連では六月上旬から八月上旬までを調査期間に設定。毎週末に家を訪問調査してい ます。基地騒音地域の全戸(七五〇世帯二三〇〇人)が対象です。
 「寺井病院です」と、声をかけていきます。反応はよく、「アンケート渡すから待って」と窓越しに声がかかったり、畑から大急ぎで家に戻り、すぐに持って きてくれる人も。この日は約二〇世帯から調査票を回収しました。
 回収が完了した地域では回収率が九〇パーセントと非常に高いのが特徴。騒音への意識の高さの表れです。集計結果は一〇月に出る見込み。

たたかいは1975年から

 小松基地は旧日本海軍の基地だったものが、一九六一年に航空自衛隊の基地になりました。そ れから、工場などの夜勤労働者から「戦闘機が飛ぶと昼間眠れない」という訴えが出て、騒音が問題になりました。一九七五年、原告団一二人で自衛隊違憲、飛 行差し止めを求めて第一次提訴を金沢地裁で。石川民医連は一九八三年の二次提訴から原告に参加しました。
 一次、二次訴訟の一審判決では「自衛隊機の騒音が生活を妨害し受忍限度を超える」として、損害賠償が認められました。しかし判決は八〇デシベル以上の騒 音地域に限定。当時の医学調査班が行った身体被害の立証も、「精度や調査対象に偏りがある」、として採用されませんでした。飛行差し止めの要求も棄却され ています。
 三次、四次提訴(九五年)では、七五デシベル以上の騒音地域の原告に、国が月額三〇〇〇円の賠償を命ずる判決を勝ち取りました。

騒音で健康被害

shinbun_1505_01 民医連で最初に健康調査を行ったのは寺井病院の谷口堯男名誉院長(故人)でした。谷口医師は、騒音地域の住民の血圧に焦点をあて、影響を調べました。その結果、騒音地域では非騒音地域に比べて平均的に血圧が高いとわかりました。
 戦闘機の離発着は一日に約一〇〇回。寺井病院の島隆雄院長は「生活、精神、身体の三点で調べてきた結果、騒音地域では幼児から難聴の傾向が。情緒障害の子も多い」と話します()。
 原告で南加賀健康友の会員の東洋子さんは「電話中に戦闘機が飛ぶと相手の声が聞こえない、外で遊んでいる子どもは泣いて抱きついてきました」と話します。
 小松基地では、一九六九年にF104J戦闘機が墜落し死者四人重軽傷者二二人を出す大事故を起こしています。二〇〇九年にもF15戦闘機が着陸に失敗す る事故が。石川民医連では、基地問題を住民の健康被害を防ぐだけでなく、「憲法の平和的生存権を守るたたかい」として位置づけています。
 そしていま、この騒音訴訟は様々な枠組みを超えて広がっています。一二人から出発した原告団は第五次、六次で二二二七人。会派を超えて市議なども健康調 査票の回収を行っています。また七月一六・一七日には山口民医連が、岩国基地の運動の参考にしたいと、この調査に参加しました。これまでも、小松での医学 調査は厚木、横田、沖縄などの基地騒音訴訟に引用され、判決に役立ってきました。
 石川民医連の武田仁事務局長は「小松の訴訟は、全国でたたかわれている基地訴訟の露払いのようなものです。たたかいをつなげていきたい」と、語っています。

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(民医連新聞 第1505号 2011年8月1日)