かあさんの「ほのか」な幸せ~眠りっこ子育てetc.~ (4)「女子たるもの、オサレせねば!」 文:西村理佐
かあさん自身は物心ついたころから、母が朝用意した服の組み合わせが気に入らないと言ってみたりするほど、好みがウルサイ子どもであった。ほのさ んの親になってからも「ファッションセンスは3歳までに決まる」などと全く根拠のないことを言い続け、帆花と毎朝、あーでもないこーでもないと言いながら 全身をコーディネートするのが日課である。
帆花は、生まれてから半年間過ごしたNICUでは、病院の白い肌着を着せられていた。お腹の中にいるころから買い揃えていたピンクの服たちは、ほとんど 日の目をみなかったし、帆花が生まれて動かなくなったという突然の出来事に混乱して、うつとなったかあさんは、自分自身がパジャマから服に着替えるという あたりまえの動作もままならないほどの精神状態で過ごした日々もあった。そんなちょっぴりカナシイ経験もあって、かあさん&ほのさんのオサレに対する思い 入れは、ハンパじゃないのだ。
ほのさんは全身が「デレッ」としていて、手足を動かさないので筋肉が硬い。袖を通す動作の時には骨折や脱臼に注意、喉元に人工呼吸器が付いているから、 「もぐり」の服よりは前開きがベター。だが、そんな事情ばかりを優先して、ほのさんが着たい服を着られないのでは本末転倒。ならばと、大きめのワンピース やチュニックを選んで足から着せたり、「もぐり」でも肩にボタンが付いていて伸びやすい生地のものを探す。年中寒がりだが、夏は半袖を着たいので、長袖T シャツを下に重ね着する。そして、レッグウォーマー、靴下、髪飾りにいたるまで、トータルコーディネート……。リハビリの日はパンツを選ぶというTPOも 覚えた! 帆花のクローゼットを開くと、それはもう圧巻。ワードローブは、軽くとうさんのソレを超えている。この夏は、スイカ柄のビキニに挑戦する予定で ある。
プロフィール(にしむら・りさ) 首都圏在住の30代女子。低酸素脳症で人工呼吸器をつけた娘を子育て中。著書『ほのさんのいのちを知って』(発行:エンターブレイン)
(民医連新聞 第1504号 2011年7月18日)
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