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民医連新聞

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人間らしく生きる権利の保障を 生存権裁判を支援する会がシンポジウム

 五月二八日、「大災害からの復興と人間らしく生きる権利の保障を」と題したシンポジウムが東京で行われました。参加者は一八二人。主催は、全日本民医連も加盟している「生存権裁判を支援する全国連絡会」です。(矢作史考記者)

 東日本大震災の被災者たちの生活再建には何が大切なのか。三人のシンポジストが発言しました。
 元大阪市のケースワーカーで神戸女子大学の松崎喜良教授は、被災地域が「もともと生活保護基準以下の収入の人が多い地域」であると紹介。それにもかかわ らず、生活保護の受給率は全国平均より低いのは、畑や海など豊かな自然環境のおかげで低収入でも食べていけるから。保護を受けると生活に必要な車が所有で きなくなるなどの事情がある、と語りました。「震災で住民は船や畑を失った。阪神大震災のような再開発型では被災者は元の生活に戻れない。憲法の生存権に 基づく復興が必要」と述べました。
 生活保護に詳しい静岡大学の布川日佐史教授は、〇八年のリーマン・ショック以降、失業者や困窮者が増えていることにふれながら「生活の立て直しの理想は 生活保護を早めに使って早く自立すること。しかし、地方は自立できる雇用環境がない」と、生活保護受給者向けの援助施策の不備を指摘しました。
 東京生存権裁判弁護団の黒岩哲彦弁護士は、行政に働きかける意義を強調。被災者生活再建支援法は阪神大震災で作家の小田実さんが、行政に訴えてできたも のであることを紹介し「今後も被災者の生存権の保障のためにたたかっていくことが大事」と。加えて「いま、弁護士の中で問題になっているのは、原発立地に 反対する裁判の原告たちを退けた裁判官たちの責任」と原発問題でもたたかう姿勢を見せました。

 フロアからは、医療や労働関係者が発言。政府や大企業が大震災の復興を口実に、社会保障の改悪や労働基準の緩和の動きを強めているという指摘がありました。

(民医連新聞 第1502号 2011年6月20日)